面接の練習相手がICT?

  既に就職活動を終えた方は、どのように面接練習をしていましたか。また、これから就職活動をする方は、どう練習しようと考えていますか。大学のキャリアセンターへ行く、友人と練習し合う、などさまざまでしょう。私も、キャリアセンターの職員の方や、社会人の方にフィードバックをもらい、練習をしていました。就活生にとって面接は避けては通れない道です。その練習の方法が、今後変わるかもしれません。

  関西大とNTT西日本は、笑顔を検出する顔認識カメラや心拍数を手首で測定するセンサーなどの情報通信技術(ICT)を活用し、学生の就職面接の練習を進める支援システムの開発に乗り出しました。学生の前に置くカメラやマイクで表情を読み取ったり、「えーと」などの間投詞の数を測ったりするほか、学生に着けるリストバンド型の端末で脈拍数や身ぶり手ぶりを調べ、面接を総合的に評価します。このシステムは、来年2月に関大で開かれる模擬面接のイベントで試験導入されます。学生が自らの緊張状態や態度を客観的につかむことで、改善につなげられるようです。

  これまでの模擬面接では、学生の印象や態度の評価を、面接官役の担当職員らの経験や感覚に頼っていました。それがICT機器を活用することで「どんな状態で緊張しやすいのかなど、データに基づく具体的な助言が可能になる。面接本番の心構えができ、自信につながる」。開発に携わるシステム理工学部の小尻智子準教授は話します。

  たしかに、エントリーシートを見てもらう際も、キャリアセンターの担当職員によってアドバイスは異なります。面接練習でも同様のことが言えるでしょう。技術の進歩により、きちんとした「データに基づく」助言が受けられることは、学生にとってメリットも大きいと思います。

  一方、ICT機器に頼った練習で、学生がみな同じ表情で、同じ声のトーンで、同じようなジェスチャーで面接をするようになってもいけないと考えます。以前、採用面接の面接官を経験したことのある方から、「学生はみんな同じに見える」と聞いたこともあります。そして忘れてはならないことは、本番の面接では「人」が相手ということです。人間は、「相手がいまどれだけ緊張しているのか、心拍数はいくらか、表情の豊かさは」、などと測定することはできません。感じ方も面接官によって異なる。だから学生も「相手のことを考え、言葉にする力」が求められるのではないでしょうか。

 

参考記事:

14日付 読売新聞朝刊(大阪13版)19面(くらし)「面接練習ICTにお任せ 関大・NTT西 心拍数や表情 測定」

 

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12日付 朝日新聞「就活生の表情や脈拍分析…面接練習システム NTT西」