プレミアムなフライデーになるか

 金曜日の夜には、次の日のことを気にしないで全力で遊べる楽しさがあります。いわゆる「花の金曜日」です。夜遅い電車には、一週間の疲れを発散してきたサラリーマンや、どんな週末を過ごそうかとわくわくしている若者でいっぱいです。そんな金曜日がさらにプレミアムになるのでしょうか。

 月末の金曜に退社時間を早めて消費活動を促す「プレミアムフライデー」が、来年2月24日に初めて実施されることになりました。これは、経済産業省と経団連、小売り業界などが進めるもので、賛同企業は従業員に対して午後3時には仕事を終えるように呼びかけます。早い時間から買い物や食事を楽しんだり、金曜の午後から旅行へ行ったりと、消費活動につなげてもらうことが狙いです。

 とは言っても、「こんなの現実的ではないよ」と思う人がほとんどなのではないでしょうか。できるだけお金を落としてもらおうと給料日後の月末の金曜に設定してますが、月末はどこの企業も忙しいはず。また、賛同企業は一部の大企業に限られてしまうのではないかと思います。経済政策が前のめりになりすぎて、企業や従業員をさらに苦しめてしまうのでは意味がありません。一方的に進めて、現場に寄り添っていないように感じます。

 矛盾しているようですが、長時間労働の改善は当然、やらなければいけない課題です。長く仕事をしたからといって、良い成果が出るわけでもないと思います。自分に合った時間の使い方を見つけ、その中で効率と内容の充実度を上げられるかが大切です。

 プレミアムフライデーが万人のためのものであるとは思えません。問題は多く、考えるべきことが他にあるのは確かです。ただ、恩恵を受けられない人が、「こんなのできるわけない」と文句を言うばかりでは何も改善されません。この制度を利用できなくても、少しでも早く帰ってやろうと意識を変えていくことに意義があると思います。社会の仕組みにケチをつけるのではなく、どうしたら自分の生活がよりよいものになるのか。一人ひとりがその問いの答えを探すことが求められています。

参考記事:
13日付 日本経済新聞朝刊(東京13版)「月末金曜は3時帰り」5面(経済)
     読売新聞朝刊(東京13版)「プレミアムフライデー」6面(経済)