「スクリーンで見たのと同じ!」。視線の先には、自衛隊ヘリコプター「AH-1S」。夏に大ヒットした映画「シン・ゴジラ」で活躍したものです。23日に陸上自衛隊朝霞訓練場で行われた自衛隊記念行事「観閲式」で披露されました。私もイベントに足を運びました。天気は快晴。第一空挺団によるパラシュート降下やブルーインパルスなどで盛り上がっていました。南スーダン派遣のこともあり一番の関心ごとは自衛隊に対する内閣総理大臣の言葉です。自衛隊の最高指揮官であるからです。
およそ陸海空軍の4000人自衛隊員の前で安倍総理は挨拶を述べました。11月には南スーダンへのPKO派遣も控えています。「世界で一番若い国」のために自衛隊が「平和な未来を切り拓く原動力」となり活躍することに大きな期待を寄せていました。
また総理は「諸君たちには、新しい任務が与えられることとなります」と発言。新任務とは安保関連法案で可能になった「駆けつけ警護」のことなのでしょう。南スーダンへのPKO派遣でこの権限を付与するのかどうか。その判断をするには、まず国民の理解を得るのが必要です。そのため様々なアプローチがなされています。
例えば、24日には安保関連法案で可能になった新任務の訓練をメディアに公開。また、25日には、「派遣継続に関する基本的な考え方」を示しました。その骨子には「武力衝突の発生は予測されるが、自衛隊がPKO活動に参加するために満たすべき条件は維持される」とあります。先に登場した「シン・ゴジラ」では、想定外の事態に対しても「大丈夫だろう」と希望的な憶測で過小評価し、危機管理に失敗しています。NGO職員や民間人を助けることができるかもしれませんが、新任務には危険も伴うことでしょう。いままで以上に現地の情報収集を強化することが求められます。
列を乱さず行進する自衛隊員、ものすごいスピードで横切る航空機、轟音を立てて走る戦闘車。これらを実際に目にすると迫力に押されます。その精強さを目の当たりにしたことで、少し恐ろしい気もしました。選択肢が増える分、自衛隊が政治的に利用されることもあるかもしれない。そう思えてなりません。自衛隊をどのようなものにしていくのか今後、私自身の情報のアンテナも広げていきたいと思います。
参考記事:26日付 日本経済新聞(東京14版)4面 「PKO派遣 「継続が適当」」
26日付 朝日新聞(東京14版)3面「南スーダン陸自派遣延長」、(東京12版)14面 社説「新任務の付与に反対」