どうする?児童労働

みなさんは、児童労働の問題に、どれくらいの関心を持っているでしょうか。

児童労働とは、義務教育を妨げる労働や法律で禁止されている18歳未満の危険・有害な労働のことです(NGO ACEのホームページより) 子供が十分な教育を受けられずに、大人のように働くことを指します。日本に住む私たちには、無縁のことのように思える児童労働。しかし、たとえば、昨日飲んだコーヒー、部屋にあるカーペット、もしかしたら、どこかの国の子供が携わってできたものかもしれません。日本にいれば、児童労働にさらされる可能性は低く、関係のないことと思われがちですが、世界に児童労働という問題があり、そして、児童労働でつくられた物を購入するなどして、間接的に児童労働を促している以上、この問題に目を向ける必要があるのではないでしょうか。

南米の最貧国ボリビアで、今月、児童労働に関する新たな法律が可決されました。児童の虐待の刑罰化や、労働日数の削減などの内容が盛り込まれており、一見、児童の適切な教育の推進や、児童の尊厳や発育への配慮するための法律のように見えます。しかし、その中には、耳を疑いたくなるような決定事項もありました。それは、就労可能年齢が、14歳から10歳に引き下げられたということです。この法律により、10歳になれば、親の監視下のもとで働くことが社会的に認められることとなりました。また、さらに、12歳を過ぎれば、労働契約を結ぶことも可能になりました。

ボリビアでは、以前からも児童労働は行われていました。国際連合児童基金(ユニセフ)によると、働く子供の約58%が、14歳未満であったようです。また、2008年度に行われた、国際労働機関とボリビア政府の調査では、学校に通わず働く児童は約85万人いることが明らかになっています。ボリビアの約3分の1の児童が家計を助けるために、働かざるを得ず、十分な教育を受けられないという現状があるようです。児童労働の職種は、路上での靴磨きや露店での物品販売、また、農場や鉱山で過酷な労働など、多岐に及びます。いずれの職種でも、彼らは最低ラインの低い賃金で働いています。

みなさんは、この法律を知り、どう感じたでしょうか。十分な教育を受けられなくてかわいそう、10歳から働かされるなんてひどい、児童労働を促進する法律は認められるべきではない、など、児童労働に対して否定的に考えられた方も多いのではないでしょうか。適切な教育をうられず、貧困の連鎖から抜けられない現状を、児童労働が作っていることは確かです。しかし、ボリビアでは、多くの児童が自ら労働を望んでいるという現状もあります。ボリビアの経済状況を考えると、生きていくためには、児童の労働をも認めざるを得ないとも考えられるでしょう。

はたして、児童労働の問題は、どうしたら解消されるのでしょうか。今後、児童労働はどうなっていくのでしょうか?

 

7月28日付 読売新聞 大阪14版 4面 「ボリビア 10歳から就労可能」

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