学校にいる動物といえば、うさぎやハムスター、モルモットなどの小動物を思い浮かべる人も多いのでは。そのような動物たちを学校の敷地内の小屋で飼育する光景も最近では少なくなっているようです。実際、2022年度の大阪府教育委員会の調査によるとウサギやニワトリを飼育する小学校は15年前の80%から20%にまで減少。動物アレルギーや感染症、教員の負担削減などが理由にあるようです。
そんな中、児童生徒の心を支える存在として「スクールドッグ」導入の動きが各地で広がっています。まず、スクールドッグとは
「家や学校に居場所がないと感じる子どもたちの学びの場に訓練された犬を介在させることで、安心できる『居場所』を見つけてもらう取り組みのこと。」(BSS 山陰放送2024年4月6日(土) 子どもたちに“居場所”と“癒し”を…「スクールドッグ」とは? 背景には“不登校問題” 「自分の価値に気づいてもらいたい」ある男性の挑戦 から引用)
23年度の文部科学省の調査では病気などを除く理由から不登校の小中高生は41万5252人。心の悩みを抱えた子供が多数いる現実のなかで動物の存在に大きな期待が寄せられているようです。実際に、ある調査では犬との交流でストレス軽減の効果が見られ、また、直接的でなくともスクールドッグの話題でコミュニケーションが取りにくかった生徒と教員の関係性が深まるといった効果もあったようです。
学校に限らず、医療施設やリハビリ施設でも人の心身をいやしてくれています。一例を挙げると大人しい動物の存在の効果として人の血圧を下げるというものがあり、飼育している心臓病の患者の生存率は飼育していない患者よりも高いと言われています。動物の存在そのものが私たちの心身を支えてくれていることは医学的にも裏づけられていることが分かります。
スクールドッグ導入の動きには犬アレルギーなどの壁もあるようですが、動物の存在は想像以上に大きいものです。私も幼い頃から犬や鳥、メダカ、カブトムシなど多くの生き物と育ってきましたが、大きさに関わらず、触れ合うことの楽しさはもちろん、家族や友達との団欒のきっかけを作ってくれたり、命と向き合う尊さや苦しさを教えてくれたりもしました。
動物たちの存在そのものだけでも、私たちを支えてくれているように、身近な何かが日々の暮らしの大きな支えになっているかもしれません。
参考記事:
2024年3月27日付 朝日新聞デジタル スクールドッグで居場所を 元中学教員、交流の場を地域にも拡大
https://www.asahi.com/articles/ASS3V1CW8S3VPUUB00GM.html?msockid=242847344fac6a7127d355544e7e6b9
2025年8月20日付 読売新聞オンライン 心癒す「スクールドッグ」児童生徒の支えに
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/20250819-OYT8T50093
2025年8月22日付 読売新聞オンライン 孤立した子どもたち、「居場所」見つけ「自分が肯定されたよう」…STOP自殺 #しんどい君へ
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/stop01/feature/20250821-OYT1T50140/
参考資料 :
NHK政治マガジン 2023年1月20日 学校から消えたウサギ 働き方改革と命を学ぶ意義とのはざまで
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/94565.html
BSS 山陰放送 2024年4月6日 子どもたちに“居場所”と“癒し”を…「スクールドッグ」とは? 背景には“不登校問題” 「自分の価値に気づいてもらいたい」ある男性の挑戦
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1064237
日本初等理科教育研究会「学校における望ましい動物飼育のあり方」文部科学省委嘱研究 https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06121213/001.pdf 9ページ