2025年4月18日、東京・虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45階にあるTOKYO NODEギャラリーで「デザインあ展neo」が開幕しました。この展覧会は、NHK Eテレで放送中の人気知育番組「デザインあneo」の世界観を、体験型インスタレーションとして再構築したものです。
今回3回目となる「デザインあ展neo」では私たちが行う行為(動詞)をテーマとして、日常にひそむさまざまな行為を、デザインの観点から捉え直す展示を行っています。
筆者自身、幼少期には毎日テレビの前で「デザインあ」を夢中になって見ていました。普段の生活の中では気づきにくいけれど、実は身の回りにあふれているモノ・コトに新しい視点を与えてくれるのがとても魅力的で、番組を見るたびに世界の見え方がどんどん鮮明になっていく感覚を覚えていました。そんな「デザインあ」の世界に触れられる展覧会が開催されると知り、実際に足を運んでみました。
会場には子供から大人まで幅広い年代の来場者が集まっており、異なる世代の人々が同じ作品に触れて楽しむ様子が見られ、活気に満ちていました。
入場して最初に目に飛び込んできたのは、巨大なひらがな「あ」のオブジェです。そしてその下のテーブルには、今回のテーマである「行為(動詞)」を連想させるさまざまなモノが雑多に置かれていました。しばらく眺めていると、それらのモノが動詞を体現するように動いていることに気がつきました。この展示は、道具をあつかう日常のシーンから人間のすがたを引き算することで、さまざまな行為をふだんと違う視点で見つめるという趣旨です。モノがまるで自分の意志で動いているような様子は奇妙であると同時に、無性にワクワクさせられました。
さらに奥へ進むと、展示に施されたさまざまな仕掛けが目を引きました。特に興味深かったのは、三種類のストライプ幅で床に描かれた横断歩道の展示です。これは、自分の歩く感覚を頼りに「どの横断歩道の白線と白線の間隔が正しいか?」を当てるクイズ形式の展示で、普段意識することのない横断歩道の幅に突然注目することになり、驚かされました。
また、ただ「見る」だけでなく、自分の体を使って体験できるアクティビティも充実していました。たとえば、下から風を吹き上げてゴミ袋を宙に浮かせ、頭上のゴミ箱に捨てるという体験型の展示です。捨てるという行為は、ふつう上から下へ投げ入れることをイメージしますが、この展示では真逆の動きによっても成立することを体感でき、発想が大きく転換される貴重な経験となりました。
体験型の展示の中でも、スケッチスペースは特に印象に残っています。そこには多くの国籍の人々が集まっており、筆者も「イス」のスケッチに挑戦しました。練り消しゴムを使ったスケッチは初めてで苦戦しましたが、その分細部までじっくり観察することになり、普段何気なく座っていたイスの形を改めて見つめ直すことができました。
「デザインあ展neo」は、「日々最も身近にあるモノ・コトなのに、それほど気にかけていなかったポイント」に着目し、自分の生活を振り返るきっかけを与えてくれました。身の回りのデザインに対する関心を促すという意図が明確に伝わってきます。
実際、私も展覧会に訪れて以来、日常の中での無意識の行為や使っているモノの細部に、以前よりも目を向けるようになりました。一つひとつのデザインには、それを作った人々の思考や工夫が込められていると気づくことで、日々の暮らしがより豊かで面白く感じられるようになった気がします。
参考記事:
2024年11月20日 累計116万人を動員した、デザインを体感する展覧会「デザインあ展neo」2025年春に開催決定![森ビル]|NIKKEI COMPASS
2025年4月18日 『デザインあ展neo』2025年4月18日(金) 開幕[森ビル]|NIKKEI COMPASS
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