最近、博物館を訪れることが多くあります。学生のうちにいろいろなものを見たい、と思うのですが、移動時間やお金の面でなかなか難しいもの。貴重な資料が集まり、丁寧な説明もある博物館は一か所で様々なものが見られる穴場です。最近の訪問先を紹介し、博物館の魅力を考えます。
先日東京を訪れたのですが、一人で暇な時間ができてしまいました。もうすぐ雨も降りだしそうで、足も疲れていました。次の待ち合わせ時間まで6時間、何をしよう…と悩み、博物館を思いつきました。
訪れたのは上野にある東京国立博物館です。思ったより多くの展覧会が開かれており驚きました。筆者は特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」を見ることに。蔦屋は江戸時代に活躍した版元で、現在放送中の大河ドラマ「べらぼう」の主人公です。
特別展には、蔦屋が手掛けた洒落本や黄表紙、狂歌絵本、浮世絵が並んでいました。その作者は山東京伝、喜多川歌麿、東洲斎写楽など、歴史の授業で学んだ名前が次々と出てくることにわくわくしました。洒落本の挿絵や錦絵には、彼が育った吉原など、江戸に住んでいた人々の様子がいきいきと描かれています。後半に展示されていた浮世絵には歌舞伎役者や力士、一般人まで描かれ、なんとも多様でした。歴史の資料集や美術の教科書で見た作品を実際に目にすることができ、とても面白かったです。
筆者は「べらぼう」を視聴したことがなく、事前知識はありませんでしたが、十分楽しめました。訪れている人は老若男女と幅広く、子どもも楽しんでいる様子でした。「べらぼうの劇中で出てきた」と話している人も多く、筆者もドラマを見てから来るとより楽しめたかもしれません。
今回、大学が「キャンパスメンバーズ」会員校であるため、割引チケットを買うことができました。多くの大学や短大、専門学校が会員で、京都の国立博物館や国立美術館でも使うことができます。しかし、この制度は肝心の大学生にあまり周知されていないように思います。時間に余裕のある学生に特典を周知すれば、博物館に足を向ける若者がより増えるだろうと感じました。
他にも、先月旅行した札幌ではサッポロビール博物館を訪れました。企業博物館の一つで、明治時代に建てられた美しいレンガ造りの建物が有名です。ビールの歴史だけでなく、開拓使など北海道の歴史にも触れることができ、勉強になりました。歴史を知ってからビールを飲めば、より味わえそうです。
博物館を訪れると、新聞と同じように自分の知らないこと、興味がなかったことに触れることができます。ネットでは自分の知っている用語しか検索できません。知らないことを知る、見たことがないものを見ることが知識を広げるのだと実感しました。
文部科学省の調査によれば、令和3年度現在、国内には約1300もの博物館があります。身近な場所にも博物館や展示室があるはずです。これから暑い季節となりますが、涼しいうえに好奇心が刺激される、魅力的な世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか。
参考記事
5月12日付 日経電子版「喜多川歌麿「ポッピンを吹く娘」 初期作品を40年ぶり発見」
参考文献