バトンは2020東京へ

「君たちには東京オリンピック・パラリンピックに携わるボランティアをしてほしい」

 

大学での英語の授業でのことです。先生は私たちに訴えかけました。外国人にアピールするには、まず私たち自身が日本の魅力と問題点を知り、客観的に見つめなければなりません。毎週の講義は、日本文化や日本人の特徴を世界と比較して、英語で発表したり互いに意見を交わしたりしながら進んでいます。

 

今朝の紙面には、リオ五輪でのボランティアの活動ぶりが紹介されていました。宿泊費も交通費もすべて自己負担。それでも、バトミントンの会場でボランティアに参加していたナジオさんはこう語っています。

 

自分が世界に出ていかなくても、この瞬間だけは世界がリオにある。旅行よりずっといい経験ができる。

 

自分の国に五輪が来るのは、またとない「非日常」。ボランティアという形は一例ですが、アスリートではなくても、様々な形で携わることができるでしょう。

 

リオデジャネイロ五輪も、終盤を迎えました。日本時間の明日午前に行われる閉会式で、いよいよ五輪旗が小池東京都知事に引き継がれます。過去には新国立競技場の設計見直しや公式エンブレムの混乱など、不透明で閉鎖的な運営が問題になりました。それだけに東京五輪が広く国民に開かれたムーブメントとなることを願います。

 

2020年の大会を未来に引き継ぐ貴重な資産としなければなりません。訪れる外国人に、どう日本の魅力を伝えるか。どんなおもてなしができるのか。私たちに課された四年越しの宿題です。

 

21日付け 朝日新聞 朝刊14版 34面 「Rio to Tokyo 非日常楽しむ ボランティア 」