フランス・トゥールーズ 「バラ色の街」からみる課題解決のヒント

トゥールーズは、フランス第4の都市です。筆者は2024年2月~3月に約3週間、短期留学しました。トゥールーズで驚いた点と感じたことを紹介します。

トゥールーズはフランスの南部、スペインとの国境に近い都市です。パリからは飛行機で1時間半かかります。23年のラグビーワールドカップの会場の1つでもありました。飛行機会社エアバスの本社と工場があることでも知られています。

1つ目の魅力は、美しい街並みです。赤いレンガでつくられた建物が多いことから、バラ色の街(La Ville Rose)と呼ばれています。特に中心部にあるキャピトル(市庁舎)は赤と白のレンガが美しい建物です。12世紀からこの場所に建っていて、夜にはライトアップされたり、広場で蚤の市が開かれたりします。中は美術館のようになっていて、美しい絵画や天井画がありました。役所は手続きのために行くというイメージだったため、観光資源になっていることには驚きました。

キャピトル(2024年2月13日 筆者撮影)

2つ目の魅力は、街の中にある自然です。市の中央を大きなガロンヌ川が貫いています。この川はピレネー山脈からトゥールーズを通り、ワインで有名なボルドーを経て北大西洋へ流れ込みます。川のほとりに等間隔に座っている人々の姿は、私が住む京都の鴨川の様子と似ています。

ガロンヌ川(2024年2月13日 筆者撮影)

驚いた点はいくつかあります。まずは地下鉄が自動運転であることです。トゥールーズのメトロ(地下鉄)は2つの線があり、いずれも自動運転です。同じフランスでも首都パリの地下鉄は有人運転で、よくストライキのため止まってしまうそうです。トゥールーズの地下鉄でストライキは少ないですが、システムトラブルは多発します。私もメトロに乗っている際、トラブルのため途中で降ろされたことがありました。

日本でも神戸のポートライナーや東京のゆりかもめなど、いくつか自動運転の路線があります。現在、公共交通機関の運転手不足や24年問題がある中で、市民の足である電車の自動運転が導入されている様子を見ると、問題解決の糸口がありそうです。

また、環境への配慮も驚いた点です。マクドナルドで食事をしたとき、ジュースやポテトの入れ物が何度でも使えるプラスチック製だったのは衝撃的でした。一方で、通っていた大学などではごみの分別が日本ほど行われているわけではないと感じました。

2024年2月28日 筆者撮影

最も衝撃的だったのは、貧富の差が拡大している点です。美しい街並みのなかでも、缶を置いてお金を乞う人や、花を押し売りしようとする人が見られました。フランス語の先生は、移民で十分な教育を受けられないなど、地域や出自による格差が大きくなっており、ストライキや暴動に発展することもあると話していました。物価が上がり、格差が拡大しているのは日本も同じです。朝日新聞によれば、今夏の参議院選挙では消費税の引き下げや社会保障が争点となるそうです。両国でどのような対策が行われるのか、注目しています。

このトゥールーズ訪問が、筆者にとって初めての海外旅行でした。異国で別の見方や考え方を知り、成長できたと実感しています。フランスと日本の課題は同じに見えますが、解決へのアプローチが異なっていました。日本で暮らす私たちはどのような選択をすればよいか、海外を含め様々な例を見て考え続ける必要があるのではないでしょうか。

 

参考記事

26日付 朝日新聞朝刊 1面「消費減税 参院選焦点に」

 

参考文献

トゥールーズ公式観光サイト