今月はトランプ氏が発表した「相互関税」で世界が大揺れとなりました。また、日本では対米輸出の中心である自動車には25%の追加関税が課せられ大きな衝撃を受けることになります。トランプ氏は「アメリカでは何百万台もの日本車が売られているが、日本ではアメ車はゼロに等しい」と発言し、日米間の自動車産業に不満を持っています。日本はアメ車に関税をかけていませんが、どうして売れないのでしょうか。
原因の一つに「非関税障壁」というものがあると米国側は主張しています。これは関税以外の要因で貿易が阻まれることをいいます。日本の場合は独自の車検制度や安全基準を満たさなければ車両を販売できません。騒音や排気ガスのテストが必要なほか、日本の基準を満たさないテールランプなどは変更しなければなりません。そのため、納車に多くの時間と費用がかかります。
日本の車検制度は先進国の中でも厳格です。しかし、厳しい保安基準を設けることで事故を防ぐことができます。排気ガスの検査も公害対策の目的があり、基準値は年々厳しくなっています。
またアメ車はサイズが大きく、エンジンも大排気量です。燃費に関しては30㎞/ℓも走る日本車がある中、多くのアメ車は10㎞/ℓ以下です。狭い道や路地の走行はとても難しく、走行音も目立ちます。たとえ、米国が言う非関税障壁が緩和されたとしても、大きなサイズのアメ車はそもそも日本人のニーズに合わないと思います。
90年代には大きなブームを起こしたアメ車ですが、同年代の学生で興味を持っている人は少ないように感じます。多くの国がEVにシフトしていく中で、大排気量のガソリン・ディーゼル車を売り続けることは難しいでしょう。今後の日米間の自動車貿易の行方を注目しています。
参考記事:
21日付 日本経済新聞電子版 トランプ氏、日本の車安全基準「不正」 非関税障壁巡りトランプ関税(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2113Q0R20C25A4000000/)
19日付 読売新聞オンライン トランプ関税交渉、米は貿易赤字・自動車・コメに関心…日本はコメ・大豆の輸入拡大カード用意(https://www.yomiuri.co.jp/economy/20250418-OYT1T50155/)
19日付 朝日新聞デジタル 車の「非関税障壁」緩和検討 政府、米国車の検査簡略化も(https://www.asahi.com/articles/AST4L3TKQT4LUQIP03SM.html)