あさって13日、大阪・関西万博が開幕します。先日大阪・梅田を訪れると、㏚するポスターがあちこちにありました。万博は最先端の技術をアピールする場です。今回は、移動手段の進歩を取り上げます。
「空飛ぶクルマ」は、最も注目されている新技術ではないでしょうか。愛知県豊田市の新興企業スカイドライブが運航する、ヘリコプターのような外観の乗り物です。ヘリコプターと違うのは、プロペラがいくつもある点と、パイロットがおらず遠隔操作で飛行する点。9日にデモ飛行が披露され、4分間飛びました。
日経新聞によると、万博では当初、一般客を乗せた飛行を目指しましたが、機体の安全性を裏付ける「形式証明」の取得が間に合わなかったため、無人での飛行になるといいます。会期中には、他にも丸紅やANAホールディングスがアメリカやイギリス製の機体を使い、無人のデモ飛行を行うそうです。
船にも新たな技術が用いられています。二酸化炭素を排出しない水素燃料電池船「まほろば」は、カセットボンベなどを販売する岩谷産業が開発した「未来の船」です。大阪市の中心部にある中之島と万博会場の夢洲をつなぐ移動手段として実際に用いられます。
岩谷産業によると、この船は燃料電池で発電した電気とプラグイン電力で動きます。燃料電池は水素と酸素を反応させエネルギーを生むため、排出されるのは水だけです。燃料のにおいがないほか、振動も軽減されているそうです。近年、温室効果ガスの排出量と吸収量を同じにする「カーボンニュートラル」が叫ばれています。これから、このような船も増加するのではないでしょうか。
私がおととし観劇した1970年の大阪万博を描いた舞台では、万博に反対する学生の「ベトナムで何が起こっているか知っているか!」というセリフがあったことを思い出しました。万博を開催するということは、日本が平和な証なのでしょうか。世界では現在も戦禍が続く中、万博で広がる技術が平和なよりよい生活のために用いられることを願います。
参考記事
10日 読売新聞朝刊(大阪13版)31面(社会) 「未来体感 見つける夢」
9日 日経電子版「スカイドライブ、3人乗り「空飛ぶクルマ」で試験飛行」
1月29日 日経電子版「岩谷産業、「水素船」をお披露目 大阪万博で運航」
参考文献