先日、「スキマバイト」をしようと単発バイトの仲介アプリを開くと、珍しい求人を見つけました。
「放課後等デイサービス支援補助スタッフ募集!」
注意事項の欄には「資格の保有がない場合でも明るく真面目な方でしたら歓迎いたします」との記載がありました。
昨今、アプリでは「保育士有資格者限定」「美容免許取得者限定」など、高い専門性を持ったスポットワーカーの募集が多く並ぶようになりました。しかし一部には今も、無資格でも応募可能な求人がひっそりと掲載されています。せっかく見つけた求人に惹かれ、実際に働いてみることにしました。報酬は5時間弱働いて6000円程度。悪い話でもありませんでした。
放課後等デイサービスとは、障害があり支援が必要な子どものための福祉サービスです。6歳から18歳までの就学児童が通います。
職場に到着して最初の業務は、施設を利用する子どもたちについての説明を受け、理解することでした。通っている人の名前や好きなものごと、特性などが一覧になっていて、各々どのくらいの頻度で通っているのか、障害の程度なども事前に知ることができました。
しばらくして子どもたちを迎えると、事前に説明を受けた通り、施設にはこだわりの強い子どもや他害のリスクがある子どもなど、様々な特性の子どもたちが通っていることが分かりました。彼らと一緒に遊んだり食事を摂ったりしながら、安全を確保することが主な業務です。
子どもたちと過ごす時間はとても充実していました。スタッフの方もみな親切で、職場環境も魅力的でした。一方で、戸惑うこともありました。子どもと1対1になり、おむつ替えをする場面もありました。「事業者はスポットワーカーが子どもに性加害をするリスクを考えないのだろうか」と心配にもなりました。
スポットワークのアプリ「タイミー」 によると、保育施設の募集人数は2024年の2月から7月の月間平均で、前年同期に比べて倍増しています。一方で子どもを預ける保護者の間には「どんな人がくるのか心配」「保育環境が不安定にならないか」といった懸念の声もあります。
実際にアプリの「店舗の評価」をみると、「子どもたちがかわいくて、癒された」や「楽しかった」などの感想が並んでいます。気軽に働けるからこその率直なレビューをもし保護者が目にしたらと考えると、悶々としてしまいます。
一方で、かねてより問題提起されているように、保育士確保に苦労している施設は少なくなく、現場の人手不足は依然として深刻な現実があります。実際に筆者にも業務終了後、「長期で働かないか」との声がかかりました。
スポットワーク頼みの施設がさらに増えたとき、果たして保護者は施設を信頼し、子どもの命を預けることができるのでしょうか。不安は拭えません。
参考資料
朝日新聞デジタル「保育現場に広がるスキマバイト『配置基準に入れないで』国の通知も」