本日の各紙では、昨年の国内における自殺者数の総数が、前年比1517人減の2万320人と、過去2番目に少なかったことが報じられました。しかし、一方で小中高生の自殺者数は529人と増加傾向にあり、その要因として学校生活や家庭環境、健康問題などが挙げられています。ここ数日、筆者は入学からの4年間で起きた事件や事故を振り返っており、どうして悲しいニュースが減らないのか考えています。
あっという間に大学生活は過ぎていきましたが、その間にも多くの事件や事故が発生し、ときには尊い命が失われています。全てを挙げることができませんが、「京王線刺傷事件(21年)」や「旧統一教会問題(22年)」、「闇バイトによる連続強盗事件(24年)」といった出来事が挙げられます。事件の被害者やその周囲の方々のことを思うと、胸が痛みます。
これらの事件や事故の背景には、さまざま原因があるでしょう。しかし、筆者はその根底に深刻な「社会問題」が横たわっていると考えます。社会問題と聞くと、広義的かつ抽象的な印象ですが、「環境問題」や「少子高齢化」、「労働問題」といった多種多様なものが挙げられます。
朝日新聞がまとめている、「SDGsACTION」というサイトによれば、こうした社会問題には、顕在化され広く知られているものと、まだあまり知られていない潜在的なものがあるとされます。筆者はふと疑問に思うことがあります。なぜ、こうした事件や事故がなくならないのでしょうか。テレビや新聞では、事件や事故が発生すると、その詳細が報じられます。人が刺傷された事件を知れば、普通は「自分は絶対にやらない」と思うはずです。それなのに、連続強盗事件のような犯罪は未だに繰り返され、新たに闇バイトに手を染める人も後を絶ちません。
自分なりの答えを見つけようと、近くの図書館に足を運び、「いじめ」や「自殺」、「高齢社会」といったテーマに関する多くの文献を読みました。しかし、依然として解答は得られません。社会問題は、木の枝のようにわかれ、複雑に絡みあい、単純な解決策では対応しきれないものなのかもしれません。また、人間には感情があり、価値観が異なるため、意見の相違が生まれるのは避けられません。それが社会問題の解決を阻む要因になっているのでしょうか。
この問題は、昨年9月に筆者が書いた「答えのない問い」といえるかもしれません。当時の筆者にとっては哲学的な領域で難しく、そのため「AIに頼って答えを導き出す」という考えを持っていました。しかし、今振り返ると、それは浅はかであったと感じます。なぜなら、AIの信憑性が保証されるわけではないこと、そしてAIを作ったのは人間であり、その人間が持つ感情や価値観によってAIの判断も変わり得るからです。
では、私たちはどうすればいいのでしょうか。筆者が出した一つの答えは、「思いを馳せること」です。今回筆者が、どうして社会問題がなくならないのだろうと考えたように多くの人がそういった意識をもつことが第一歩だと思います。
私生活が忙しく、そんなこと考える時間がないという人もいます。また、人はそれぞれに異なる感情や価値観を持っており、相違が生まれるのは当然のことだと思う人もいるでしょう。しかし、「いじめ」や「自殺問題」、「差別」といった社会の根深い問題に対して、「ただ、伝える」、「ただ、知っている」だけの傍観者ではあってはならないと思います。問題に向き合い、傍観者から支え手になっていくことが必要と思います。当事者に寄り添い、真摯に考え、具体的な解決策を全員で考えることが、今すぐにでも求められていると思います。見返りを求めずとも、こうした一人一人の努力が積み重なることで、社会問題が減り、好ましい方向へと進んでいくと思います。
「あらたにす」のテーマには「学生がつくる・学生のための」とあります。この媒体は学生たちに向けたものだと筆者は考えます。そこで最後に、特に社会に最も近い立場にいる大学生の皆さんに向けて、筆者から一言伝えたいと思います。
大学生ができることは何か。大学でただ何となく4年を過ごすのか、それとも何かに励み、それを活かす道を選ぶのか。少しの時間があれば、私たちは変わることができます。だからこそ、今一度、考えてみてはどうでしょうか。
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本記事をもちまして、筆者はあらたにす編集部を卒業いたします。大学生が書く点で、とても拙い文章ではあったと思いますが、社会問題に対して、常に「学生視点」と「多角的な視点」の二つを意識して真っ直ぐな意見を書いてきたつもりです。身近の様々な社会問題に対して、読者の皆様が、ほんの少しでも考えるきっかけをもって頂ければ嬉しいです。
これから人々の生活を守り、創る職に就きます。すべての人が安心して暮らせるように、あらたにすで学んだこと、そしてこれまでの20年余りで学んだこと、全てを活かしていきます。2年間、ご愛読いただき本当にありがとうございました。
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【参考記事】
29日付 朝日新聞 朝刊(社会)13版
「小中高生の自殺 最多529人」
29日付 読売新聞 朝刊(社会)13版
「小中高生自殺 16人増529人 昨年過去最多 学校問題など原因」
28日付 日経電子版 「小中学生が年155時間の『探究』 私の挑戦、日本を変える」
【参考資料】
THE ASAHI Shimbun SDGs ACTION 「社会問題とは?具体例や、解決に向けて企業ができる取り組みを紹介」