ウクライナ侵攻から3年 国際秩序は守られるか

今日2月24日は、ロシアがウクライナに侵攻して丸3年です。犠牲者は増え続け、戦いの終わりはまだ見えません。ウクライナ軍の死者は約4万6000人、ロシア軍の死者は9万人だそうです。ウクライナから国内外に避難した人は1000万人以上にのぼり、これは以前の人口の4分の1だといいます。日本に避難している人も約2000人います。

今日の新聞各紙は何面にもわたり、関連記事を載せています。孫を亡くしたり、母を亡くしたりした人々の悲痛な声が伝わります。一刻も早く戦争が終わり平和を望む人がいる一方で、プーチン氏に憎しみを持つ市民の声も記されていました。

アメリカのトランプ大統領は、就任前に停戦を「大統領就任から24時間以内に終わらせる」と豪語していました。現在はロシアとアメリカが参加し停戦協議が行われています。バイデン前政権はウクライナに積極的な支援を続けていましたが、トランプ氏はウクライナのゼレンスキー大統領に対して根拠の乏しい批判を浴びせ、ロシア寄りの発言を続けています。

トランプ氏はウクライナが求める北大西洋条約機構(NATO)加盟に反対し、プーチン氏が望めばウクライナの「全土を掌握できる」と発言しました。ウクライナには武器供与の見返りにレアアース(希土類)の権益譲渡を求め、軍事援助は「巨額のムダ」と切り捨てます。読売新聞はトランプ氏が停戦実現に前のめりなのは大統領としての「レガシー(政治的遺産)」としたいからだと述べています。

国際秩序に反する形で侵略し、他国の領土を占領したロシアの言い分が認められれば、武力によって領土を広げてもよいという悪しき前例ができてしまいます。他の国や地域に波及すれば、収拾がつかなくなるでしょう。さらに戦争が長引き、人々が犠牲になることを容認できませんが、「損得勘定」で協議を進めるように映るトランプ氏の姿勢には疑問を感じました。当事者であるはずのウクライナが置き去りになって協議が進んでいるように見えます。これで市民が納得できる形で終結できるのでしょうか。

この3年、侵略によって日本でもインフレが進みました。ガスの高騰や小麦の値上がりなどは、私たちの生活にも影響しています。世界にも、ウクライナにも暗い影を落としている戦争が、一刻も早く公正な形で終結することを願います。

 

【参考記事】

24日付朝日新聞朝刊(大阪14版)1面「私たちは見捨てられたのか」

24日付読売新聞朝刊(大阪13版)1面「侵略3年見えぬ停戦」

23日付読売新聞朝刊(大阪13版)1面「『即時停戦』米の功名心」

 

【参考文献】

法務省 「都道府県別ウクライナ避難民在留者数」

日経電子版「ウクライナ支援、米欧足並み乱れ トランプ氏見返り要求」

日経電子版「食糧・エネ価格高騰 ウクライナ侵略、世界にインフレ圧力」