突然起きた八潮市での道路陥没 下水道老朽化の現状とは

1月28日に埼玉県八潮市中央一丁目交差点の道路が陥没しトラックが落ち込んでしまう事故が発生しました。作業が難航している原因の一つである下水管の破損について、2月12日まで埼玉県の一部地域で下水道に流れる量を減らすため水道の使用自粛が呼びかけられていました。

1月29日には2か所目の陥没が起き、30日に2つの穴がつながり大きな一つの穴となりました。この陥没の主な原因は下水管の破損だと考えられています。下水管には汚水が流れています。この場所では管がカーブしていることもあり、硫化水素が発生しやすくなるといいます。発生した硫化水素が空気とふれることで硫酸となって腐食が進み、今回の陥没に繋がったと考えられています。この事故を受け国土交通省は各都道府県に緊急点検を要請する事態となっています。

八潮市で発生した陥没事故の様子(2月4日、筆者撮影)

埼玉県にある草加駅からバスで20分の場所に中央一丁目交差点は位置します。事故が発生した交差点へ繋がる道路はすべて封鎖されており、陥没した場所に近づくことはできなくなっていました。消防車両やトラックが何台も現場に入り、陥没現場で作業が続けられていました。「国土交通省」と書かれた排水ポンプ車も作業しており、事故の深刻さについて改めて考えさせられました。

「国土交通省」と書かれた排水ポンプ車(2月4日、筆者撮影)

2016年11月8日には下水道管が原因とはなっていませんが、博多駅前で福岡市地下鉄七隈線の延伸工事途中に道路が陥没する事故が発生しました。24年8月には新潟県でも水道管が破裂して農道が陥没し、トラクターが転落する事故が発生しています。

国交省によると、22年度末での下水道管渠の総延長は約49万kmになるといいます。その中で標準耐用年数である50年を経過した管渠は全体の7%にあたる約3万㎞もあり、10年後には約9万キロ、20年後には約20万㎞に達するといいます。21年度末で約2200箇所ある下水処理場でも、設備の標準耐用年数である15年を経過した施設が約2000箇所もあります。老朽化が進行して、深刻な問題となっています。15年に改正された下水道法では腐食の恐れがある下水道管は5年に1回以上の頻度での点検が義務づけられました。

22年度の下水道に起因した道路陥没事故は1607件ほど発生しています。下水道施設ではクラックと呼ばれる裂け目からの侵入水や硫化水素によって引き起こされる管路の腐食などの老朽化が進んでいます。寿命を延ばす対策として管の内側をプラスチック材料で被覆する対策が施され、陥没事故を未然に防ぐために道路管理者のパトロールや地中レーダーによる空洞化調査などが行なわれています。道路の陥没は突然発生するため、個人での対策は難しいと考えられますが、道路のひび割れや雨水の流れ込みを気にかけながら生活しようと思います。

 

参考文献:

読売新聞オンライン 2025年1月29日付 下水道管に起因の道路陥没事故、今後増える恐れ…耐用年数超え増加で

https://www.yomiuri.co.jp/national/20250129-OYT1T50072/

読売新聞オンライン 2025年2月12日付 八潮陥没「節水」に努めた埼玉県…都内のコインランドリーで4人分洗濯、バスは洗車せず

https://www.yomiuri.co.jp/national/20250211-OYT1T50128/

朝日新聞デジタル 2025年2月1日付 老朽化の下水道管、点検急ぐ 埼玉県の県道陥没事故受け福岡の自治体

https://www.asahi.com/articles/AST104TLDT10TIPE00XM.html

 

参考資料:

国土交通省 上下水道

https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/crd_sewerage_tk_000135.html