先月28日に埼玉県八潮市でおきた大規模な道路陥没事故。転落したトラックの運転手、74歳の男性の安否はいまだにわかっていません。今回の八潮市の陥没は大規模な下水道管の腐食が原因と指摘されています。
国土交通省がまとめた令和2年~4年までの道路の陥没発生件数をみると、「直轄国道」には大きな変動はなく、横ばいに変化しています。しかし、都道府県道は4年に大きく増え、市町村道もわずかに増加傾向にあります。
道路の陥没事故までには下記のような流れが考えられます。
・埋設管の老朽化による破損
・地表から降雨が浸透し、埋設管の破損部から水とともに土砂が流入
・土砂の流出により地中内に空洞が発生
・空洞が拡大して道路が陥没
「直轄国道」「都道府県」「市町村」での道路陥没の発生件数の過半数は、道路排水施設を主とした道路施設によるものですが、政令市や特別区に着目すると、下水道などを主とした「道路占有物件」による陥没が、道路施設よりも高い割合を占めていました。
令和5年度の下水道管路メンテナンス年報によると、令和4年度末までに全国で整備された下水道管路の延長は、約49万㎞。そのうち標準的な耐用年数とされる50年を超過した管路は、約3 万㎞であり、総延長の 7%程度にあたるそうです。しかし、10 年後には約 9万㎞(約 19%)、20 年後には約 20 万㎞(約 40%)と、今後は耐用年数を超過した埋設管が急速に増加する見込みです。
現時点では腐食しやすい構造の管路については5年に1度以上の点検を求めていますが、今回の埼玉県八潮市の道路陥没での要因となった水道管は高低差が大きくないことから国が求める定期点検の対象外だったといいます。
国交省は八潮市の道路陥没事故をうけ、自治体に義務付ける下水管の定期点検の対象拡大などを検討するため、2月中に有識者委員会を立ち上げることを発表しています。同様の事故を防ぐには、抜け漏れのない再発防止策を迅速に講じることが求められます。
参考記事:
8日付日本経済新聞朝刊36面「主要下水管も定期点検を義務付け 国交省 埼玉陥没で対象拡大 「5年に1回以上」頻度議論」
参考資料:
・国土交通省「道路の陥没発生件数とその要因(令和4年度)」
https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/ijikanri/pdf/r2-r4kanbotu.pdf
最終閲覧日:2025年2月9日
・国土交通省「令和5年度 下水道管路メンテナンス年報」
https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001769140.pdf
最終閲覧日:2025年2月9日
・YAHOO!JAPANニュース「なぜ、いま全国各地の道路が陥没しているのか? 原因は地中の下水管や雨水管の老朽化にあり。」2025年1月30日
https://news.yahoo.co.jp/articles/5816674fb9313c1df4a6cb257c209435aba0804f
最終閲覧日:2025年2月9日
・NHK「埼玉 八潮 道路陥没事故 “穴の中捜索せず複数の方法を検討”」2025年2月9日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250209/k10014717531000.html
最終閲覧日:2025年2月9日