ここ2ヶ月で3件もの大規模な航空機事故が発生しました。
2024年12月29日、韓国西南部の務安(ムアン)国際空港で済州(チェジュ)航空機が着陸に失敗し179人が死亡しました。事故機の両方のエンジンからは鳥の羽毛や血痕が確認され、原因として推定される「バードストライク」に注目が集まっています。
バードストライクとは「飛行中の航空機が鳥と衝突する現象。特に、離着陸時に多発する」ものとされています。日本国内の空港でも2023年、1499件のバードストライクが起きたと報告されています。このうち、機体が損傷したケースが59件、鳥が原因となった航空機の引き返しや目的地変更は9件、空港への進入・着陸のやり直しは14件発生しています。
2025年1月28日には韓国南部・釜山の金海(キメ)国際空港で、香港行きの格安航空会社(LCC)エアプサンの旅客機(エアバスA321型)から出火しました。乗客・乗員の計176人は全員脱出しましたが、その際に乗客の50〜70代の女性3人が軽傷を負っています。旅客機は駐機場で離陸準備中に出火し、1時間後に消し止められたものの機体は半焼したそうです。
韓国メディアは、機体後方の荷物棚から煙と火が出たとの目撃情報を報じ、モバイルバッテリーや電子機器による発火の可能性が指摘されていました。成田国際空港のホームページでは、バッテリー類の航空機内持ち込みについて、次のように規定しています。
・リチウムイオン電池は預け入れ手荷物として預けられないため、自身で客室へ持ち込んでも良い。
・ただし、160Whを超えるリチウムイオン電池は機内へ持ち込めない。ワット時定格量(Wh)の不明なリチウムイオン電池については、航空会社職員または保安検査員に尋ねる。
釜山での事故を通じて、搭乗前に個人の持ち物が規定に沿ったものなのか確認することの重要性が再認識されたように思います。これはリチウムイオン電池に限ったことではありません。航空会社や空港が定めているルールに沿った行動が乗客自身の命を守ることにつながっています。一人ひとりの心がけ次第で防げる事故があるということです。
翌29日には、アメリカの首都ワシントン近郊にあるレーガン空港付近で、アメリカン航空の旅客機と米陸軍のヘリコプターが衝突しました。旅客機には乗客60人、乗組員4人、ヘリには3人が乗っていました。旅客機は着陸のためにポトマック川沿いを北上し、空港滑走路に接近していたところで南下してきたヘリとぶつかったとされます。
今年に入って発生した事故についても詳しい調査が続いている段階ですので、原因を断定することはできません。しかし、この2ヶ月の間に航空機事故が相次いで発生したことで、より不安に感じてしまいます。
筆者はアクシデントに遭遇したことがあります。昨年の3月に関西国際空港からドーハに向かった際になんらかのトラブルが発生し、カザフスタンのアルマトイへ緊急着陸しました。原因はわかりませんでしたが、乗客の安全を1番に考え、速やかに対応してくれたスタッフに感謝しています。
春休みには飛行機を利用し、旅行する人も多いかと思います。航空会社は事件やトラブルの原因を明らかにし、乗客の命を守るフライトに努めてもらいたいものです。繰り返しますが、利用者が持ち物や乗客マナーにおいて、航空会社や空港の規定を守っているか今一度確認することは、旅の安全に欠かせません。
参考記事
31日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)1面「米旅客機と軍ヘリ衝突 ワシントン近郊遺体収容・捜索」
31日付 読売新聞朝刊(大阪13版)1面「米旅客機と軍ヘリ衝突 ワシントン近郊川に墜落」
参考資料
朝日新聞デジタル 「『うちのお父さんは』空港に響く家族の悲鳴や怒号 韓国の旅客機事故」https://digital.asahi.com/articles/ASSDY44BKSDYUHBI01JM.html?iref=pc_rellink_04
朝日新聞デジタル 「韓国・釜山の旅客機火災、機内の荷物棚から出火か 目撃者の情報報道」https://digital.asahi.com/articles/AST1Y2S8CT1YUHBI01BM.html?iref=pc_ss_date_article
朝日新聞デジタル 「両エンジンに鳥の羽毛や血痕 韓国事故調、務安空港事故で初期報告書」https://digital.asahi.com/articles/AST1W3QBMT1WUHBI014M.html?iref=pc_rellink_01
デジタル大辞泉 「バードストライク【bird strike】」https://japanknowledge.com/lib/display/?lid=2001014525320
成田国際空港 「バッテリー類の航空機内持ち込みについて 空港からのお知らせ」https://www.narita-airport.jp/ja/news/notice_liionbattery/