各候補者を知るうえで重要な選挙公報。鳥越氏は「あなたに都政を取り戻す」、増田氏は「東京の輝きを取り戻すために」、小池氏は「都政への信頼を取り戻すために」。多少の違いこそありますが、3人そろって「取り戻す」と訴えていました。以前、自民党の選挙ポスターに「日本を取り戻す」と書いてあったのを思い出します。あの時も、東日本大震災に対する民主党政権の対応の拙さから、政府に対する国民の信頼が落ちたタイミングでの選挙でした。
31日に投開票が行われた東京都知事選挙は、元防衛大臣だった小池氏が他の候補者を大きく引き離して当選しました。これによって初の女性都知事の誕生です。投票率は59.73%と前回選挙よりも10ポイント以上高い結果となり、都民の今回の選挙に対する関心の高さをうかがわせました。
自民党の小池氏が、どの政党の支援も受けずに出馬し、一方で増田氏が自民党と公明党の推薦という分裂選挙、さらに鳥越氏が野党統一候補として参戦するという、三つ巴の争いといわれていました。都知事が相次いで「政治とカネ」問題で任期を満了することなく辞職したこともあり、今まで以上に候補者を慎重に選ぶ必要がありました。
そのため新聞社やニュース番組では、3候補の街頭演説の模様が連日報じられました。演説に多くの人が足を止め、人だかりになっている様子や「小池氏は緑のものを持ってくるように訴えかけています」「増田氏は自分の名前を覚えてもらうような演説をしています」といったそれぞれの演説の特徴が紹介されていました。
今の東京は待機児童問題、東京オリンピックの開催、高齢化、防災対策など問題が山積みです。小池氏は都政の信頼を取り戻すとしていますが、そのためには目に見える結果が欠かせません。4年の任期を完走するのはもちろんのこと、掲げた公約を実行することです。選挙が終わったから注目するのは終わり、であってはなりません。その行政手腕をしっかりと精査していく必要があります。
参考記事
1日付 各紙朝刊 都知事選関連面