今月13日、札幌市東区にある大型商業施設「アリオ札幌」の中核テナントだった「イトーヨーカドー アリオ札幌店」が店を閉じました。ヨーカ堂は昨年2月以降、道内にあった6店舗のうち5店舗をすでに順次閉鎖しており、北海道エリアから完全に撤退したことになります。
近年、道内ではスーパーの撤退と新規参入が相次いでおり、小売業界の勢力図は大きく変わろうとしています。
◯ヨーカ堂・西友、道内から撤退
全国的に苦境が目立つのが総合スーパーです。食料品や日用品だけでなく衣料品なども幅広く扱う業態で人気を集めましたが、近年はユニクロなどの専門店の台頭で業績が低迷しています。
こうした中、各社は採算性の高い店舗への集約を進めており、その影響は北海道にも及んでいます。
昨年2月、イトーヨーカ堂は、道内にある6店舗全てを閉店すると発表しました。同社は首都圏への集中や自社アパレル事業からの撤退といった構造改革を進めており、その余波を受けた形になります。
昨年4月には西友も北海道と九州の店舗を同業他社に譲渡し、両エリアから撤退すると表明しました。同社の店舗網は本州を基盤としており、経営資源を集中することで収益性の向上を図ります。
◯跡地の行方は
跡地の多くには同業他社が新たに出店します。
中でも注目されるのは、北海道初出店となる低価格スーパー「ロピア」(本部・神奈川県川崎市)です。ヨーカ堂が営業していた札幌市内の3店舗を引継ぎます。地元の関心は高く、昨年11月の道内1号店の開店時にはテレビでも頻繁に取り上げられていました。
アリオ札幌には、帯広発のスーパー「ダイイチ」が出店します。ダイイチは、23年11月にオープンした札幌・すすきのの大型商業施設「ココノススキノ」に出店したことでも話題になりました。
西友は札幌市内の全9店舗をイオン北海道に売却します。同社はアークス、コープさっぽろと並ぶ道内スーパー3強の一角であり、大手のパワーバランスにも影響がありそうです。
昨年は北海道の小売業界にとって激変の年となりました。人口減少が進むなか、業界内の競争は激しさを増していくと考えられます。出店や販売戦略の巧拙は各社の命運をますます左右すると見られ、今後も各社の動向から目が離せません。
参考記事:
日経電子版「イトーヨーカ堂と西友 かつての両雄「売り出し」の皮肉」(2025年1月20日)
日経電子版「北海道スーパー3強、地上戦と空中戦激化 ロピア進出も」(2024年4月30日)
日経電子版「西友、北海道から撤退 イオンに札幌市内の全9店舗売却」(2024年4月2日)
日経電子版「ヨーカ堂、北海道・東北・信越撤退 構造改革で17店閉鎖」(2024年2月9日)