1995年1月17日に阪神・淡路大震災が発生し、今年で30年を迎えました。淡路島北部を震源としたマグニチュード7.3の大地震は近畿圏の広域に深刻な被害を与えました。兵庫県神戸市役所に隣接されている東遊園地には慰霊と復興のモニュメントがあります。
この震災の教訓を踏まえ、各種法令の改正や防災基本計画の見直し、ボランティア受入体制の強化などが図られています。
同年6月、12月の2回にわたり災害対策基本法が大幅に改正されました。そこでは緊急災害対策本部の設置要件の緩和、現地災害対策本部や都道府県知事に対する自衛隊の災害派遣の法定化などが盛り込まれています。交通規制に関しては、災害時に一定区間全域で一般車両の通行が制限されます。
翌年の96年には内閣情報収集センターを設立し、災害時における情報収集の24時間体制が整えられました。迅速に情報を集めるための中央防災無線の強化、送られてくる被災地の映像や被害のおおまかな規模を把握する地震被害早期評価システム(EES)などにより情報を把握・分析できるようになっています。他にも、関係省庁から提供される情報を共有して応急対応活動を支援する応急活動支援システム(ESM)も稼働が始まっています。消火・救出活動での連携体制、災害医医療整備の強化も進められました。
地震が発生した時には小中学校や公園などに多くの被災者が避難しました。そのなかでプライバシーや衛生環境といったことが問題となりました。このことから同年には「災害救助研究会」で災害救助全般のあり方が検討されました。
兵庫県のホームページによると阪神淡路大震災では95年1月17日~2月17日までの1か月間で約62万人のボランティアが活動しました。県外からの人が6割を占めています。このようなことから98年には特定非営利活動法人(NPO法)が施行され、ボランティア活動を促進する環境が整えられています。この震災では過去にないほど大勢が活動したことから、1995年は「ボランティア元年」と言われています。
避難所やボランティア受入体制などの課題は2024年に発生した能登半島地震でも表面化しました。地震発生からすぐに被災地で活動できたボランティアは少なかったといいます。支援を必要とする地域の把握が困難であったなどの問題があり、改めて被災地と支援団体、自治体そして県との連携の大切さを痛感しました。
近年では南海トラフ巨大地震の発生が懸念されています。被害の拡大を防ぐためには、国や自治体の活動を支える制度の整備ととともに個人でできる避難場所の確認や食料・飲料の備蓄などの取り組みが重要となっています。
参考文献:
朝日新聞デジタル 2024年5月2日付 ボランティア「控えて」→「足りない」 GW、能登地震被災地に続々
https://www.asahi.com/articles/ASS513SR9S51OXIE00LM.html
朝日新聞デジタル 2025年1月16日付 「ボランティア元年」から30年 能登で見えた「個人も団体も必要」
https://www.asahi.com/articles/AST1H36PNT1HPTIL00SM.html
読売新聞オンライン 2025年1月16日付 直下地震にも警戒を あす阪神・淡路から30年
https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/feature/CO072696/20250115-OYTAT50035/
日経電子版 2025年1月17日付 阪神大震災30年 進む高齢化、地域防災に高まるリスク
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF1732B0X10C25A1000000/
参考資料:
内閣府 防災情報のページ