あと三月 万博ホンマに始まるの
本日の朝日新聞、朝日川柳に掲載されていた一句です。この句が多くの人々の思いを代弁しているように感じます。
大阪・関西万博の開催まで3カ月を切りました。パビリオン建設の遅れや参加国の撤退など、300日前に記事を書いた時点と比べても、状況が大きく好転したとは言えません。
先日、万博参加国・地域向け説明会「国際参加者会議(IPM)」が開かれました。読売新聞によると、説明会では参加国から「入場券の購入方法が複雑だ」という指摘があり、日本国際博覧会協会が対応を検討するとしています。
このIPMは2022年10月から半年に一度開催されており、5回目にあたる今回は開幕前最後の説明会でした。残り3カ月という時期になって入場券購入方法の再検討が必要になる状況には、やや不安を感じます。
そこで入場券購入方法を調べようと大阪・関西万博の公式サイトを訪れてみました。
まず、チケット購入ページでは「万博ID」の会員登録が必要です。登録自体は簡単で、5分程度で完了します。言語設定もできて外国人観光客に配慮されています。チケットには、来場日を予約して購入するものと予約なしで購入できるものがあります。ただし、後者でも、別に来場日時の予約が必要です。
少し分かりにくいと感じたのは、チケットの種類の多さと、それぞれの使用条件です。大きく分類すると、『前売限定チケット』『複数回入場パス』『特別なチケット』『会期中チケット』『団体チケット』にわかれます。
『前売限定チケット』は、開幕日から4月26日まで一回入場することができる「開幕券」や、開幕日から7月18日までに一回入場することができる「前半券」、会期中いつでも1回入場可能な「早割一日券」があります。これらは4月12日までに購入する必要があります。
『複数回入場パス』は2種類です。開幕日から10月3日まで毎日11時以降に入場可能な「通期パス」は来場前に最大3回の来場日時予約が可能です。1回の来場後、次(4回目)の来場日時予約ができます。もう一つは7月19日から8月31日まで毎日11時以降に入場可能な「夏パス」です。こちらは来場前に最大2回の来場日時予約ができ、1回の来場後に次(3回目)の来場日時予約が可能となります。
『会期中チケット』は会期中に購入が「一日券」、「平日券」、「夜間券」に分かれます。このように大きく5つに分かれるだけでなく、そのなかで更に細かく分類されているのです。
もう一つの課題は、万博の内容が十分に浸透していないことです。SNS上では「展示内容の紹介がなく、何が行われるのか分からない」といった声が見られました。
開催が近づくにつれて、テレビの生放送などでパピリオンの紹介をしているのを目にするようになりました。読売新聞では「万博大解剖」、朝日新聞では「近づく 大阪・関西万博」などの連載も組まれています。このように、全く報じられていないわけではありません。
しかし、多くの人が「内容が分からない」と感じる背景には、自分から取りに行く人しかこうした情報に触れられない現状があるのではないのでしょうか。新聞やテレビ離れが進む中、それらに頼った情報発信では届かない層が多いのです。筆者自身も、テーマソングをコブクロが歌い、開幕日にはAdoがスペシャルライブを行うことを最近まで知りませんでした。
YouTubeでは、各テレビ局がパビリオンの見どころを紹介する特集を公開しています。一定の再生回数を記録していることからも、情報不足を感じる人が多いとうかがえます。
大阪万博は2820万人の来場を想定しています。開幕までの入場券の販売目標は1400万枚ですが、前売り券の売れ行きは8日時点で751万枚と芳しくありません。政府は開幕までの3カ月間で認知度を高めたいといいます。
昔に比べて情報量が増え、人々の関心が分散しているだけに、従来のような発信では広がりに限界があるのは当然です。万博に対する関心をどのように高めるかが課題であり、既存の枠組み、やり方にとらわれず、新たなPR方法やSNSでの効果的な発信を模索してほしいと考えます。私たちの税金が投じられている以上、それに値するものになることを願うばかりです。
参考記事:
読売新聞オンライン「万博のチケット購入方法『複雑だ』…参加国から改善求める声『買おうとしている人を怒らせる』
読売新聞「2025大阪・関西万博 特集」
朝日新聞デジタル 17日付「万博まで3カ月、機運低調 遅れる準備・伸び悩む入場券販売」
朝日新聞デジタル「連載『近づく 大阪・関西万博』一覧」
朝日新聞18日付 朝日新聞朝刊14面「朝日川柳 柴門蔵人選」
日本経済新聞デジタル「大阪万博、日本館で火星の石を展示 はやぶさ採取の砂も」
参考資料:
EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト「大阪・関西万博の入場チケットについて」