先日、大学の講義で家族が原因で悩みを抱える若者が多いという話を聞きました。
「親ガチャ」や「毒親」という言葉が浸透しきていることからも、家族にストレスを感じている人は多いのだと感じました。一番近い存在であるからこそ、色々な思いを抱える相手ではないでしょうか。この記事では、家庭環境で悩む若者が居場所を見つけるためのサイト「nigeruno」についてご紹介していきたいと思います。
まずは、nigerunoというウェブサイトについて簡単に説明していきたいと思います。これは、NPO法人 第3の家族が運営する、家庭環境に悩む少年少女が新たな居場所を見つけるための情報サイトとなっています。
NPO法人第3の家族は、どんな家族も生きやすい社会を構築することを目的として活動しています。この記事で紹介するnigerunoなどのWeb事業をはじめ、音楽ライブなどのイベント事業や社会づくり事業などにも取り組まれています。
nigerunoでは、居場所に繋がる「手札」として73種類ほどの選択肢が掲載されています。そして、それぞれにできること、できないこと、経験談などが掲載されています。ここで、2つほど例をご紹介します。
1、「趣味を作る」という手札の場合
できること=生きがいを作る
できないこと=困りごとの解決
ひとこと:趣味があると何かと生きやすくなります。趣味のために頑張ったり、趣味のために明日も生きようと思えるかもしれません。
簡単に見つかるものでもありませんが、いろんなことを試してみるのも良いでしょう。
2、「コミュニティ」を変えるという手札の場合
できること=自分にあった友達や話し相手を見つける
ひとこと:今つらいと感じるなら、いる環境を変えるのも手かもしれません。
自分のことを嫌う人もいれば、好いてくれる人もいます。
どこかで素敵な出会いがありますように。
コミュニティの変え方
・一緒に行動する友達を変える
・部活・サークルを変える
・趣味が同じ友達をネットで探す
・ネットでいろんなコミュニティに参加してみる
・NPOなどが行っている居場所に行ってみる
(nigerunoより引用)
以上のように、新たな居場所の選択肢を提供するだけではなく、実践する方法も同時に掲載されている場合があります。自分の知らなかった進路を知ることは、自分に合うものを実践するきっかけにもなり、悩みや不安の解消にも繋がります。
また、このサイトに寄せられる経験談はどれも非常に印象に残るものばかりでした。問題を抱えるようになった背景、つまり家庭状況や脱出するまでの事情から、その問題を解決できた方法とそのプロセス、今後の目標、今悩んでいる人へのアドバイスなどが綴られています。
同じような悩みを抱えていた人が、辛い状況を乗り越え、一歩ずつ前へと進んでいる様子を細かく知ることができるため、心が少し軽くなるのではないでしょうか。
さらに、nigerunoと併設されている「gedokun」というサイトでは、リアルタイムで投稿されている、家が辛い少年少女たちの声を知ることができます。
一人一人が今抱えている、家族や友達には言いづらい本音や悩みをここでは打ち明けることができるほか、投稿には「わかる」や「エール」というボタンが設置されており、誰かに共感や応援をしてもらうこともできます。同じような悩みやストレスを抱えている人がいることを知るだけで、救われる人が多くいるのだと思いました。
これらのサイトでは、スクールカウンセラーやNPO団体の活動なども手札として挙げられていて、こんなサービスや支援があったのかと感じるかもしれません。まさに自分の求めていたものと出会える可能性があります。
筆者自身、学内外で若者の支援活動をしている様々な方と話す機会がありますが、口を揃えて「活動しているのに、それを知ってもらえていない」と悩みを語っています。人生を救ってくれる素晴らしいサービスは、知られていないだけできっとたくさん存在しています。
このサイトは、そういった様々なサービスや活動の認知度を高めることにも大きく貢献しているのです。また、家庭環境に悩む人に向けた情報がメインとなっていますが、ここで示されている手札は幅広い悩みに活用できると筆者は感じました。
私たちは生きていく中で、様々な困難や悩みを抱えていくと思います。それらは必ずしも、自分の力や知識だけで解決できることばかりではありません。ストレス社会を生き抜くため、自分なりの他者との関わり方を身につけるためにも、たくさんの選択肢があるということを知り、それらの中から自分に適したものを活用していかなければならないと筆者は考えます。
悩みを抱える方はぜひ、nigerunoで自分にぴったりの手札を見つけてみてください。
【参考文献】
・NPO法人 第3の家族 nigeruno
【参考記事】
・2024年11月27日付 朝日新聞デジタル 期待に応える良い子、やめよう 作家・アルテイシアさん
・2024年10月4日付 朝日新聞デジタル(さらば毒親)トラウマ編:上 暗闇の恐怖、今もフラッシュバック
・2024年10月5日付 朝日新聞デジタル (さらば毒親)トラウマ編:下 つらい記憶・負の感情、言葉にして 精神科医・片田珠美さんに聞く
・2024年9月4日付 朝日新聞デジタル (中学受験と教育虐待:中)子の将来への焦り、怒りに 解答ミスに爆発、表情消えた長女