「年賀状じまい」の時代に見直す、届ける手書きの魅力

手元に届いた年賀状の数に小さな苦笑いを浮かべる父。最盛期は130枚注文しても足りなかった父親が今年出した年賀状は60枚ほど。それでも出した半分も返ってこなかったことにショックを受けているように見えました。

携帯を持ち始めてからすぐにデジタル端末での新年の挨拶に変わっていた筆者にとっては、「年賀状じまい」という言葉を久しぶりに感じたシーンでした。

62.6%。株式会社ディライトよる「年賀状と喪中はがきの文化」に関する調査による「2025年、新年のあいさつとして年賀状をださない」と回答した方の割合です。調査によると、喪中以外にも、手間の軽減や人間関係の整理、電子手段で十分といった理由で年賀状を出さずにいる方も多くいるようです。

個人情報漏洩のリスクや24年10月からの郵便物の価格引き上げによる金銭的コストが影響していることも考えられそうです。

筆者もどちらかと言えば、「年賀状をださない派」です。複数人に謹賀新年の挨拶を送る場合、数分で終えることのできる電子端末の挨拶の手軽さと比較して、年賀状は一人ひとりにかなりの時間を消費することになります。時間的コストもあり、出さない友人が増えていく流れにのるように、いつのまにか「年賀状じまい」をしていました。

1日のNHKの報道によれば、今年の元日に全国で配達される年賀状は、およそ4億9100万通と去年を34%下回り、比較できる08年以降で最も少なくなっているといいます。

しかし、そのなかでも年賀状での交流を大切にする人々はいます。滋賀県彦根市の人気キャラクター「ひこにゃん」には昨年を上回る1万2000通を超える年賀状が届いているといいます。熊本県のPRキャラクターくまモンにも、能登半島地震の被災者など国内外から、1月6日までで4585通も届いているそうです。

電子上のフォント文字では伝わらない、手書きのメッセージだからこそ伝えられる個性、書き終えたときの達成感、自分宛ての郵便物が届いたときの高揚感など、年賀状だからこそ得られる体験は確かにあると、過去の経験から筆者は感じています。

新年のあいさつが必須ではない時代に変化しつつある今だからこそ、メール、SNS派の筆者も誰かに自分の手書きで言葉を伝える、年賀状という文化は重要だとは思います。

参考資料:
・読売新聞オンライン「年賀状じまいで『新年のあいさつ』も終了『特に行わない』が4割」超2024年12月20日https://www.yomiuri.co.jp/otekomachi/20241220-OYT8T50024/最終閲覧日2025年1月9日
・読売新聞オンライン「くまモンに年賀状4585通、熊本県内は1割…台湾や中国など10か国・地域からも」2025年1月8日
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250107-OYT1T50149/
最終閲覧日2025年1月9日
・NHK「年賀状の配達始まる 利用者減少と値上げで枚数は過去最少に」2025年1月1日https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250101/k10014683821000.html
最終閲覧日2025年1月9日
・NHK「ひこにゃんに去年上回る1万2000超の年賀状 滋賀 彦根」2025年1月9日
https://www3.nhk.or.jp/lnews/osaka/20250109/2000090577.html
最終閲覧日2025年1月9日
・株式会社ディライト「2025年『年賀状じまい』が主流に。簡略化する日本の年賀状文化。6割以上が年賀状を出さない理由とは」2024年12月12日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000022.000136732.html
最終閲覧日2025年1月9日