12月もあと少しになりました。大学4年生の筆者にとっては、あと3ヶ月余りで学生という肩書きともお別れです。このような節目に立ち、少しずつ社会に出た時のことを考え始めるようになりました。その中でも最近気になっているのが「生命保険」です。
生命保険という言葉はテレビや新聞などのコマーシャルでよく目にします。万が一の死亡や病気、けが、介護などの様々なリスクに備えるためのものです。予期しない出来事によって経済的に生活が困難にならないように、まとまったお金を準備する手段として利用されています。また、子どもの養育や老後の資金などの将来必要となるお金を必要な時期や目的に合わせて準備する手段としても利用することができます。
しかし、こうした生命保険への若者の加入率は低い状況にあります。第一生命経済研究所の調査によれば、男性では『特に理由がない』、女性では『経済的な余裕がないから』や『生命保険についてよくわからないから』、『必要性をあまり感じていないから』、『加入を勧められたことがないから』といった理由が低さの原因となっているといいます。この背景には、生命保険の内容に触れる機会が少ないことや20代の金銭的余裕のなさが考えられます。また、日本では公的保険制度によって医療費の自己負担が軽減されているため、民間保険に入る必要性を感じづらいことも一因として言えるのではないでしょうか。
さらに、最近は保険商品の総合案内所をうたって、生命保険会社の商品を扱う代理店が増加しています。11月30日の読売新聞によれば、こうした代理店で多額の広告料を支払った生保会社の商品を優先して販売する行為がみられ、金融庁が立ち入り調査に入ったがことが報じられました。こうした状況では、信頼できる窓口が見つからず、若者だけでなくすべての世代の人が加入しにくい環境になってしまっているのではないでしょうか。
筆者自身も、生命保険という言葉や基本的な内容は理解していたつもりでした。しかし、いざ自分事になった時に、どういった保険がいいのか、数多くある会社や保険プランから選択をすることにはすごく迷いを感じています。特に、若いうちに加入をしておけば、毎月の費用は軽くなる一方で、現時点で経済力がない場合には、保険内容が充実している高めの契約は難しいと感じています。また、プランの変更をすることができる場合、できない場合もあり、その点も慎重に考えなければならないといけません。
今後、筆者は自分にあったプランを見つけ、加入を検討していきたいと考えています。ただ、若者世代の加入の低下や信頼できる窓口がなく保険商品に対しの不透明な部分を見ると、生命保険に関する分かりやすい情報提供や相談機会の充実といったサポートが求められていることが強く実感できます。安心して生命保険についての正しい理解と選択肢を広げる環境の整備が、今求められているのではないでしょうか。
【参考記事】
17日付 読売新聞 朝刊 13版 2面(総合)「高額療養費 月8000円上げ」
17日付 読売新聞 朝刊 12版 19面(社会保障)「安心の設計」
11月30日付 読売新聞オンライン 「『マネードクター』に金融庁立ち入り検査、多額の広告料払った生保の商品を優先して勧めたか」
18日付 朝日新聞 朝刊 13版 3面(総合3)「高額療養費 月8000円増へ 平均的な所得層の上限額 来夏にも」
【参考資料】
公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険とは」
「公的保険ってなんだろう?~『もしも』のときの生活を支えてくれるもの~」
株式会社第一生命経済研究所 「よく分かる!経済のツボ『最近の若者の保険離れは加速しているのか』」