キャリアを考える

早くも12月を迎え、26年卒生(学部3年、修士1年)向けの冬季インターンシップや早期選考も本格化しつつあります。

こうした中、筆者もこれまであまり実感を持てなかった自分が今後進むべき道、キャリアについて考える機会が増えたと感じています。

近年では個人の自律的なキャリア形成が重視されるようになり、自身の進路を真剣に考える必要性は増しています。

私たちは自分のキャリアとどのように向き合っていくべきなのでしょうか。

 

◯雇用慣行とキャリア

日本では多くの人が企業で働いており、基本的にキャリアは会社の中で築かれていくことになります。

従来の日本型雇用慣行においては、厳格な解雇規制によって終身雇用が保障される一方、企業は広範な人事権を持ってきました。職務内容や勤務地などについて会社に極めて広い裁量が認められていたのです。

近年、このような雇用慣行は変容しようとしています。「配属ガチャ」への忌避感や優秀な人材の確保の必要性などが背景にあり、職種指定の「ジョブ型雇用」の導入といった動きはその表れの一つと言えるでしょう。それに伴い、社員が主体的に自身の将来や仕事について考える必要が生じてきます。

 

◯キャリアを決めるのは誰か

キャリアを決めるのは会社と社員のどちらなのでしょうか。

日本型雇用慣行においては、会社が社員にキャリアを与えてきたと見ることができるでしょう。

しかし、近年ではジョブ型雇用を導入していない会社においても面談などを通じて社員の希望を汲み取ろうとするなど、社員一人ひとりの意思が尊重されるようになりつつあります。

ただ、キャリア形成を個人の主体性に完全に任せることについては、その当人が持っている視野や知見の限界といった死角もあると思います。

企業には社員の希望を鵜呑みにするのではなく、個々の特性に応じた配属先を提示するなど、一人ひとりの選択に真摯に寄り添う姿勢が求められます。

一方、社員の側も自身が描くキャリアプランに固執することなく、周囲の助言を受け入れながら柔軟にプランを修正していく必要があるでしょう。

 

◯就活とキャリア

就職活動は多くの人にとって初めて真剣に自身のキャリアを考える機会となるだろうと思います。

社員座談会やOB訪問、面接での逆面接など多くの機会が用意されており、社会人の話を聴くことで様々な働き方を知り、社会や仕事に対する視野も広げることができます。

個人の裁量が増える中、これらの機会を積極的に活用し、学生時代から自身の将来について真剣に考えておく必要があるでしょう。

 

自分らしい生き方にも大きく関わるキャリア形成。自律性や主体性がより求められるようになりつつあるからこそ、視野を広く持ち、後悔のない選択をすることが大切です。

 

参考記事:

日経電子版「就活生「早めに配属先知りたい」8割 企業は丁寧な対話を」(2024年11月26日)

日経電子版「キャリア形成、会社が後押し 社内公募や社内副業など」(2024年11月14日)