先日、3台のバスに乗れませんでした。大学最寄りの「わら天神」は、大人気の観光スポット「金閣寺道」の隣のバス停です。私はわら天神から金閣寺道に向かう路線バスに乗らなければなりませんが、金閣寺に向かう人たちでいっぱいです。数人しか乗れなかったり、乗車ドアが開けられずに「満員なので次のバスをご利用ください」とアナウンスされたりしました。後ろに並んでいた人の「ドアも開けられないのか…」という声が聞こえました。21年間京都に住んでいる私も、ここにきて観光客の増加を実感しています。
京都を車で観光するのは不便です。行楽シーズンには渋滞が発生することから、市も郊外の駐車場で公共交通機関に乗り換える「パークアンドライド」を推奨しています。地下鉄もありますが、金閣寺や清水寺、東山方面には通っていません。このため京都観光にはバスが不可欠となります。
市バスは今年6月、ダイヤ改正を実施しました。観光客向けの「観光特急バス」の導入や増便などが行われました。京都駅から金閣寺、繁華街の四条河原町を循環する205番のバスは、平日で21.5本、土曜には17本も増便されたそうです。
増便したものの、肝心の運転士が足りていないといいます。市交通局は10月、「市バス運転士不足 非常事態宣言」を出しました。運転士を再募集したり、公休日数の増加など処遇を改善したりするそうです。最近、新人運転士のバスに乗車しました。女性運転士も増えているように感じます。
一部の路線は混雑しているのですが、赤字の路線が大半だといいます。市バスの経営難を取り上げた朝日新聞の記事では、どれだけ長い距離を乗っても230円という「均一運賃が大都市では一般的」な料金制度の影響を取り上げていました。中心部以外の観光なら、同じ料金でバスの混雑なく移動できそうです。穴場観光地の魅力を広めることが、混雑緩和にも赤字の改善にも欠かせないと感じました。
バス混雑の対策として、自転車での観光は有効です。私はこの夏、自転車を借りた友人と市内を回りました。レンタル自転車は簡単に借りられ、返却するポートも多数あります。坂になっている京都も、電動自転車なら楽に移動できそうです。友人は「簡単な登録ですぐ利用できるのがありがたい。バスだと渋滞して思ったより時間がかかることがあるけど、自転車だとストレスない。運動もできてよかった」と話していました。気になる店や神社があればすぐに止まることができ、新たな発見がありそうです。
京都を訪れる人と、住んでいる人、全員が快適に移動するためには工夫が必要です。住民である私も思いやりを忘れず、増える観光客についてどんな新たな施策が打ち出されるのか注目していきたいと思います。まもなく紅葉シーズン。観光地を訪れる際は多様な移動手段を使って新たな魅力を感じたいものです。
参考記事
朝日新聞2024年1月16日朝刊「市バス、超満員なのに経営難」