止まらない投票率の低下 政治に関心を持てないワケ

 10月の衆議院議員選挙。私は自民党総裁選を秘書目線で見たことで、衆院選への関心もかなり高まっていました。「投票は行かないといけない!」と強く思い、地元の駅前で配られる候補者のマニュフェストをできるだけ集め、「自分はこの人に入れる!」と自信を持てるくらい考え、投票に向かいました。

 また、政治について調べる機会が多くあったことも選挙への関心が高まった要因でした。先日書いた、「サイレントマジョリティーのままでいいの? 〜寓話「茶色の朝」から見る声をあげることの重要性〜」<http://allatanys.jp/blogs/25192/>の記事を元に、大学のゼミの教授に依頼され、30人ほどのゼミ生に発表する機会を得ました。自分が見た政治の現場を分かりやすく説明するために、総裁選の投票方法や、仕組み、その周辺知識をひたすら調査。自分で噛み砕き、分かりやすく説明するのってこんなにも難しいんだ、と思い知らされる一方で、いかに政治に対して無知なのかを自覚させられます。

 この発表をしたことで、住民票が実家にある学生が不在者投票をした、何も考えてなかったけど投票に行こうと思った、という反響が届きました。だからといってはなんですが、今回の衆院選の投票率は上がるだろうと期待しました。しかし、またしても低下し、戦後3番目という結果に終わります。自分の周りの人をちょっと動かせたくらいでは、数字は変わらないか、と虚しい気持ちになりました。

 

 なぜ、投票率は下がり続けてしまうのでしょうか。家族と政治について話すことは比較的多いのですが、友人と話すことってあまりないな。ふと思った私は、政治ってもしかして他人と話しにくい話題なのかと疑問に感じ、Instagramで「家族や友人と政治の話をすることに抵抗はありますか?」とアンケートを取ってみました。結果は、「抵抗がない」が9割越え。決して、触れてはならない話題ではないようです。

その結果を踏まえていうと、投票率が下がってしまう最大の要因は「政治と自分がつながらない」という、どこか遠く思ってしまうような感覚なのではないかと思います。

 例えば、高校生。妹に公約を見せると、「何を基準に決めたらいいの」と正解を求めてくるような様子でした。確かに公約に掲げられていることは、候補者によって主張はまちまちですが、経済や年金の話が大半を占めていました。大学生の私ですら、年金の仕組みを理解しきれていないのに、高校生の妹が知っているはずがありません。

 反対に、自分たちにとって身近な話題だと比較的周囲の人と共有することも多い気がします。最近だと、「103万の壁」。アルバイト先の後輩は、学校をやめたことで時間に余裕ができ、お金欲しさに扶養を気にせず働きだしました。同じように毎日のように働いていた私は、10月に入ってから、働く頻度を下げました。その結果、後輩は知らぬ間に103万円の壁を超えていたようです。「なんで103万円なんだろうね」、「昔よりも最低賃金上がってるのに、103万円はなんで変わらないんだろうね」と不満を口にし、議論することが増えた気がします。

 「自分と繋がる」と分かった瞬間、誰かと意見を交わしたり、自分の考えが明確になったりするような気がします。何事もそうですが、自分の考えをしっかりと持つことが大事なのではないかと思います。そのためには、多くの情報に触れることで、自分とどう結びつけられるかがカギになります。政治について知ろうと思うこと、その上で行動し考えること。これを促せるような仕組みを整えることが大事でしょう。

<参考資料>

NHK「衆議院選挙 投票率は53.85% 前回を下回り戦後3番目に低く」2024-10-28

< https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241027/k10014620851000.html>最終閲覧:2024/11/14