NYタイムズ掲載から1年 歩いて感じた盛岡の魅力

「いい街でしょ?」、観光で来たことを伝えると、誰もが口を揃えて一言。筆者が盛岡を訪れて最初に驚いたことでした。

盛岡市は昨年、ニューヨーク・タイムズが発表した「2023年に行くべき52か所」の旅行先に選ばれました。先日、盛岡を散策していると、ところどころで街の魅力と「NYタイムズ効果」を実感しました。

「若い人や海外の人が増えました。それまでは老人の街というか…」。盛岡の喫茶店で店主が笑いながら話してくれました。掲載以降、これまで来なかった客層の来店も増えているとのこと。

市も受け入れ態勢を急速に整備しているようです。盛岡市公衆無線LAN「盛岡 City Wi-Fi」のサービスエリアに新たに32カ所を追加し、臨時の観光案内所も設置しました。盛岡駅からバスで30分ほどの場所にある「つなぎ温泉」は「盛岡つなぎ温泉」に名称を変更。バスで往復しましたが、どちらの便にもインバウンドと見られる乗客がいました。

筆者撮影:盛岡つなぎ温泉の旅館に掲載されていた記事(2024年8月28日)

データにも表れています。去年、市内のホテルなどに宿泊した観光客は107万人余り。盛岡市によれば、記録が残っている2009年以降、最も多くなりました。

「何があるかと言われたら、何もない。でも、なんでもあるから暮らしやすいよ」。地元の方は市の魅力を語ります。確かに、さしたる名所は無いように思えます。ただ、市街地は基本的に徒歩で楽しめますし、都会のような騒がしさもありません。町全体がほどよく落ち着いているため、居心地の良さを感じることができます。

筆者撮影:盛岡市中心部(2024年8月28日)

盛岡駅から市街地までの間にかかる「開運橋」は、又の名を「二度泣き橋」といいます。これは、転勤で訪れた人が橋の上で「遠くまで来てしまった」と一度目の涙を流し、転勤で盛岡を離れる時には、自然豊かな景観や人情を思い出して「こんなにいいところを離れたくない」と二度目の涙を流すことからその名が付いたそうです。

筆者撮影:開運橋(2024年8月28日)

人や自然、歴史にも触れられる盛岡の街。一度訪れると、離れる時に寂しさを覚える気持ちがわかります。京都や東京などの人気観光地とは違った魅力がそこにはありました。

参考記事

わんこそばも自動化? NYタイムズが推す盛岡、「8がけ」への答え:朝日新聞デジタル (asahi.com)

盛岡、感動的な出会いが魅力 NYタイムズに推薦のモド氏 – 日本経済新聞 (nikkei.com)

「見過ごされがちだが魅力ある街」…NYタイムズに紹介された盛岡市に観光客殺到 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

参考資料

https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/kankou/1059946/1061603.html

https://www.iwate-np.co.jp/article/2024/7/8/165925