その一票は誰のため? 選挙に行く意味とは

衆院選の投開票日になりました。連日、選挙に関する話題を新聞やテレビで目にし、関心を持っている人は多いことでしょう。発足から間もない石破政権の信任を問うものということもあり、一層注目されているように思います。大学の講義で選挙に関する話題が多いうえ、今回の衆院選に関する課題に取り組んだこともあり、筆者も関心を持っています。

期日前投票をしたという人も、当日投票に行くという人もいるかとも思います。ゼミの先生は顔を合わせるたびに「皆さん、地元に帰ってでも選挙に行ってくださいね」と言っていました。実家を離れて一人暮らしをしている友人の中には、投票するのに手続きがかかり、大変だと言っている人もいました。

筆者は大学進学を機に地元を離れることになりましたが、選挙に行きたいという理由で住民票を京都に移しました。18歳で選挙権を得てからは、実施された選挙には必ず行くようにしています。

投票所は徒歩2分ほどの距離にあり、気軽に行けます。印象的だったのは、投票所となっている学校の構内を歩いていると、同じく投票に来ている人から「こんにちは」と挨拶してもらったり、「若い人が来てくれるのは嬉しいよ」と声を掛けてもらったりしたことです。何気ない一言で近所の人と繋がれ、なんだか嬉しい気持ちになったことを覚えています。それと同時に、若者が選挙に行くことは珍しいという印象を持たれているのだなと感じました。選挙に対してハードルが高い、どの政党に投票すれば良いのかわからないといった声も聞きます。

読売新聞の記事には、有権者に対して今回の衆院選のポイントをまとめているものがありました。

記事によると、衆院選は政権選択選挙であり、どの政党に政権を委ねるか、誰に首相になってもらいたいかを決めるものです。今回の衆院選では、大きく分けて3つの政権の姿、選択肢があります。

一つ目は、自民党・公明党政権の継続です。自公で過半数の投票を得られたら、石破政権が続きます。

二つ目は、野党による政権交代です。自公の議席数が過半数を大幅に下回った場合、立憲民主党を中心とした野党の連立政権が発足するとも考えられます。

三つ目は、自公で過半数を割り込むが、他の政党が加わって新たな連立政権が生まれる可能性です。

有権者は貴重な一票を持っています。投票に行くことが大事だと聞くけれど、実際にどの政党に投じれば良いのか、どこを見て判断すれば良いのかわからないという人もいると思います。記事の中では、福沢諭吉の「政治とは悪さ加減の選択である」という言葉が引用されていました。この言葉からは、政治にベスト(最善)を求めるのではなく、せいぜいどちらの方が悪くないのかを、「醒めた目」で判断すればいいという現実的な考え方につながります。

毎日新聞社は「えらぼーと」を運営し、若年層の政治参加を促しています。これは、若者団体「NO YOUTH NO JAPAN」の協力のもと、アンケートに答えることで政党・候補者との一致度が測れるサイトです。このようなサイトを活用し、自身の考えと政党を照らし合わせることも一つの手だと思います。

投票率も今回の衆院選の注目点の一つとして挙げられています。過去最低は2014年の52.66%、3年前の2021年は3番目に低い55.93%。投票率が低いことが国民の政治への関心度の低さを示しているのならば、このままでは政治に緊張感が薄れ、国民の意見が反映されにくくなってしまいかねません。一票を投じることで、我々の意思を数字として示すことができます。少しでも社会が前進していくには「どの政党に投じることが悪くないのか」を考える選挙は、自身と社会の繋がりを身近に感じる貴重なきっかけになるはずです。

参考記事:

26日付 朝日新聞朝刊(大阪14版)1面「あす投開票 数字で見ると」

26日付 読売新聞朝刊(大阪13版)1面「衆院選あす投開票 与党過半数焦点」

26日付 読売新聞朝刊(大阪13版)1面「拝啓 有権者の皆さんへ 政権の姿あなたの手に」

参考資料:

毎日新聞 「毎日新聞ボートマッチ えらぼーと2024年衆院選」https://vote.mainichi.jp/50shu/