ネパールで観測史上最大の大雨 近年増加する異常気象について考えました

現在、ネパールは先月27日から続く大雨により首都カトマンズや周辺で大きな被害を受けています。30日時点で200人を超える死者が確認されており、行方不明者の捜索の終わりも見えません。筆者は8月、ネパールを訪れました。滞在中に知り合った方に今の状況をお聞きしました。

川の近くは大きな被害を受けた。シンドパルチョーク郡スンコシ川(8月21日、筆者撮影)

27日から28日にかけての24時間で降った雨量は1970年の観測開始以来で、最大となりました。各地で洪水や土砂崩れが発生し、多くの家屋が被災しました。また、幹線道路の通行止めや橋の崩壊が起こり、救助活動もスムーズに進んでいません。

とくに川の近くの住民は大きな被害を受けました。筆者が滞在していたリゾート地のスクティーにはスンコシ川という大きな川が流れています。滞在中に知り合ったカピルさん(47)は大雨が降ったときは家にいました。とても危険な状態だったといいます。家が川のそばにあるためすぐに避難したそうです。今までに経験したことがないくらいの豪雨だったと話してくれました。

大雨の被害は主に河川の近くに集中しています。首都カトマンズの東側、多くの観光客で賑わうタメル地区は近くに大きな川がないため被害は少ないといいます。筆者が滞在中に利用したホテルのオーナーに連絡してみたところ「タメル地区は安全です。私たちは元気で、街も雨が降る前と変わっていない。しかし、このような状況のためホテルのキャンセルは増えている」と答えてくれました。

ネパールは亜熱帯気候で1年間が雨季と乾季で分けられます。雨季は6月から9月で年間降水量の約8割がこの時期に降ります。雨は1日中続くのではなく、毎日1時間ほどの短時間に強い雨が集中します。滞在中は折りたたみ傘やカッパを毎日のように使用しました。

雨季は土砂崩れが起きやすく危険な道も多い(8月19日、筆者撮影)

今回のような大雨は地球規模の気候変動が関係していると考えられています。地球温暖化が進むことで気温が上昇し大気中の水蒸気が増えます。そして降雨量が増加すると言われています。今年は日本各地で大雨や集中豪雨が起きました。同じことがネパールでも起きているということです。筆者は年々増える異常気象に危機感を持ち、環境問題に目を向けていく必要があるとあらためて痛感しました。

 

 

 

参考記事:

 

9月30日付 日経新聞電子版「ネパール豪雨、死者170人 首都カトマンズは孤立状態」(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB308BY0Q4A930C2000000/)

9月29日付 読売新聞オンライン「ネパールで大雨、148人死亡・55人行方不明 60か所以上で主要道路が寸断」(https://www.yomiuri.co.jp/world/20240929-OYT1T50071/)

9月29日付 朝日新聞デジタル「ネパール首都など豪雨被害、217人死亡28人不明 洪水や地滑り」(https://www.asahi.com/articles/ASS9Y0JBZS9YUHBI02GM.html)