今やどこに行っても見かけるエスカレーター。実は、埼玉県と名古屋市にはエスカレーターに関する条例があります。
エスカレーターに立ち止まって乗ることを義務づけた名古屋市の条例が2023年10月に施行されてから1年が経ちました。罰則規定はないものの、エスカレーターを歩く人は減り、効果があったようです。
地元のテレビ報道を紹介します。
「通勤・通学の利用者が多い大曽根駅では、立ち止まらずに歩いている人は、施行前の23年8月に17.3%だったのが、施行直後には13.7%、1年後の24年9月は10.5%だったということです。名古屋市では『右側にも立とう、両側に立とう』という具体的なメッセージが強調され、歩行の抑止効果になったとみられています」(中京テレビNEWS NNN,2024)
過去のあらたにすの記事では、エスカレーターでの立ち止まりにはファーストペンギンの存在が大切だとありました。
そこで、最近筆者はエスカレーターの空いているレーンでも立ち止まるようにしています。すると案の定、後ろから舌打ちをされたり、手すりをトントン叩くような仕草が見られたりと完全に邪魔者扱いされているように感じました。ただ、現在はほとんどで立ち止まるよう表記がなされているので文句は言いづらいはずです。
読売新聞の記者の体験記があります。「『習慣』は簡単に変わらない。人と違う行動をするのも度胸がいる。記者は気合を入れて、すいている右側に乗って立ち止まってみたこともあるが精神的に疲れる。『後ろから歩いて上ってきたらどうしよう』。そわそわして左側に立つよりも長く感じる」(読売新聞,2024)
ファーストペンギンも、かなりの勇気が必要なことが分かります。みな頭では「立ち止まった方が良い」と理解していても、行動が伴わないだとか空気を読まざるを得ないといったところでしょうか。
立命館大学の総毛実咲さん(20)は、「2列になって立ち止まることへの明確な理由が明かされてない気がします。恐らく、安全面の配慮からだとは思いますが、説得力に欠けます。だからこそ、社会の慣習に従ってしまいます」と話します。
社会の流れに逆らう人間が排除されていく、この時代。どうにか抗って、自分に何が出来るのか日々探っていく人生です。自分が正しいと思うことは、曲げずに貫いていきます。
参考記事
2022年11月13日付あらたにす「エスカレーター条例 是非全国で」.
2024年6月23日付読売新聞「[日曜の朝に]エスカレーターの習慣」.
2024年10月1日付中京テレビNEWS NNN「名古屋市のエスカレーター条例施行から1年 立ち止まって乗る人が増えた 筑波大学などの調査結果」.