サイレントマジョリティーのままでいいの? 〜寓話「茶色の朝」から見る声をあげることの重要性〜

茶色に守られた安心、それも悪くない』

 

フランスで100万部を超えるベストセラー作品「茶色の朝」に出てくる言葉です。この寓話は、茶色以外の猫を取り除く法律を政府が作ったことを機に、最後には世の中のものはすべて茶色以外禁止になってしまう国で生活する人の様子が描かれています。

 

最初は疑問に思っていた法律も、次第に諦めがついていった主人公。そのなかで発された言葉が最初に紹介したセリフです。政府がそういうのだから素直に従おう、その考えは最終的に主人公の後悔に繋がります、「いやだというべきだったんだ。抵抗すべきだったんだ」と。

 何も考えず、言われたことに従うということの怖さ、疑問に思うこと、考え続けることの重要性をこの作品は示しているのではないかと私は思っています。

 

 最近、若者をはじめとして「政治離れ」が進んでいることが話題になっています。私自身も、国会議員事務所でインターンをするまでは、政治にさほど関心はありませんでした。しかし、このインターンを通じて、「無関心のままではいけない」と思うような多くの出来事に直面しました。

 例えば、最近の自民党総裁選。9人の候補者がいても、私たちの生活はさほど変わらないだろうと正直思っていました。しかし、候補者9人の合同記者会見を伝えるテレビ中継を見て、今後の日本が大きく変わるかもしれない、と感じました。女系天皇について、まず総裁になったら取り組みたい課題、今の日本の問題点など、9人の候補者がそれぞれ語る内容は似通っているようで、全く異なるものでした。

 「決まったことに従えばいいや」。そう思っていた自分がいたことに初めて気づかされました。私には関係ない、どこかでそう思っていたのだと思います。しかし、この中継を見た瞬間、この結果によっては自分自身の人生にも大きな影響が及ぶのではないか、と若干の焦りを抱くようになりました。

 「静かな多数派」を意味する、サイレントマジョリティーが近年は増えていると聞きます。本当に「静かな多数派」なのでしょうか。自分自身の考えがないから、周りに流されているだけなのではないかな、と私自身は考えます。このまま考えることをやめてしまったら、「茶色の朝」の主人公のように、きっと後悔する日が来るのではないかと思っています。

「考えることをやめない」、「目の前のものを疑ってみる」

自分自身がサイレントマジョリティーのうねりに飲まれないように、心に刻んでいきたいものです。

 

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24日付朝日新聞デジタル「自民党総裁選『三すくみ』状態 石破・小泉・高市3氏、強みと弱み交錯」

(https://digital.asahi.com/articles/ASS9S3HZQS9SUTFK00NM.html)

日経電子版 「2024自民党総裁選 データで比較・解剖 候補者9人」

(https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00011860U4A810C2000000/)

 

<参考資料>

フランク パヴロフ・物語「茶色の朝」