予想のつかない地震発生 過去の災害から備えの大切さを学ぶ

8月28日の午前0時過ぎ、大きな揺れで目を覚ましました。急いでスマホを手に取り、津波の心配がないか確認しました。ここは今年4月3日にマグニチュード推定7.2の地震が発生した台湾の花蓮。大地震から半年を迎えようとする被災地に足を運びました。

花蓮は台北の中心駅から特急電車で2時間10分ほどの場所にあります。駅に到着すると団体旅行者やスーツケースを持った人々の姿が見受けられました。花蓮県内最大の夜市である「東大門夜市」やハイキングツアーなどがあり毎年多くの観光客が訪れています。

東大門夜市の様子(8月26日、筆者撮影)

 

地震では中心部にある高層マンション「天王星ビル」が倒壊し、日本国内でも多くの報道機関がその様子を伝えました。筆者が訪れた時には、建物は撤去され、地面はアスファルトで舗装されていました。敷地内には木材や鉄材が置かれており、黄色のポールで立ち入りが制限されています。一方、周辺の飲食店や商店は営業しており、地震からの復興の速さを実感しました。

天王星ビルの跡地(8月27日、筆者撮影)

地震の影響が大きかった市街地では解体された建物もあったのですが、地震対策や耐震工事が進んだこともあり、建物の多くが倒壊を免れました。街で出会った人の話によると、背景には過去に同地域で起きた地震が深く関わっています。1920年6月5日にマグニチュード8.3の地震、1999年9月21日には「921大地震」が起き、台湾全土に大きな被害を与えました。この99年の地震を機に建物の耐震基準が引き上げられました。そのため、21日は「国家防災日」になっています。

 

同ビルから歩いて20分ほどの「北濱街」は、倒壊が激しかった地域です。倒壊した飲食店もビルと同様に撤去されていました。また、観光名所である「太魯閣渓谷」は地震による落石が発生し、観光客の歩道や施設は封鎖されている場所もあるそうです。度々起こる余震も復旧の妨げになっています。

飲食店の跡地(8月27日、筆者撮影)

過去に起きた地震の教訓を生かし災害への備えや訓練を怠らず、花蓮地震では地震発生から3時間で避難所が開設されたことも報道されました。南海トラフ巨大地震への警戒意識が高まるなか海外の被災地を訪れ、震災後の初動対応や復興の早さは、日頃の備えがあったからこそだと学びました。

 

参考文献:

読売新聞オンライン 2024年4月11日付 台湾の避難所は地震後3時間で開設、パーティションの中でマッサージも受けられる…元々は日本から学んだ災害対応

https://www.yomiuri.co.jp/national/20240411-OYT1T50003/

 

朝日新聞デジタル 2024年5月3日付 「今は別の場所に行って」 台湾東部沖地震1ヶ月、余震が観光に打撃

https://www.asahi.com/articles/ASS524RD4S52UHBI01BM.html