「SNS断ち」のすすめ 自分の心を守るために

「1回全部のSNSログアウトしてみた」。先日、友人の言葉を聞いて驚きました。使っているInstagramやX(旧Twitter)などから、一時的にログアウトしたそうです。「タイムラインに流れて来るポストを見るのがしんどくなったから」だと言います。

効果を聞いてみると、「不快なものに触れなくてよくなったから嫌な気持ちにならなくなった」と教えてくれました。友人はその後、またSNSにログインしてコミュニケーションを楽しんでいます。

SNSでの誹謗中傷が後を絶ちません。SNSを見ていると、毎日繰り広げられる論争に辟易してしまうことがあります。性や国などある特定の集団を叩く流れ、有名人への中傷。もちろんSNSには必要な意見や提案も多くあります。

しかし、自分が言われているわけではないですが、人を傷つけようとする強い言葉が並んだ投稿を見るとしんどくなってしまいます。中傷を行うアカウントや差別的な単語をブロックしても、別の造語やネットスラングを使った投稿を目にしてしまいました。

総務省が運営委託する、違法・有害情報相談センターの相談件数(日経電子版より引用)

今夏行われたパリ五輪でも、誹謗中傷が相次ぎました。日本経済新聞によれば、国際オリンピック委員会(IOC)は人工知能(AI)を用いた監視システムを導入。しかし投稿数が多すぎて、選手が投稿を目にするケースがあったといいます。

先日、授業でSNSの誹謗中傷をなくすためにどうすればよいかについて話し合いました。「侮辱罪の厳罰化を周知する」「SNS誹謗中傷に特化した罪を作る」「実名化する」。実現できるかはさておき、様々な意見が出ました。

誹謗中傷をなくすためには、「画面の向こうには生身の人がいる」という意識を持つことと、法律や各SNSのシステムも含めた変化が必要だと感じます。

友人は、「SNS断ちする前、同じコンテンツを推している人の投稿と自分を比べてしまって純粋に楽しめなくなっていた」とも語っていました。流行を知ることよりも、自分の心の健康が大事です。誹謗中傷がSNSからなくなるまで、ちょっとしんどくなったら休んでみるのもリフレッシュになるのではないでしょうか。

 

参考記事

8月1日 日経電子版「パリ五輪、SNSで選手中傷相次ぐ AI監視に限界も」

1月9日 日経電子版「ネット上の誹謗中傷とは 相談件数8年連続で5000件超」