『あなたを○○に例えると?』という質問をこれまでに受けたことはありますか?
テレビや新聞などで、誰かがこの質問に答えている場面を一度や二度見たことがある方も少なくないのではないでしょうか。こうした問いかけの狙いは、相手の心情や考えをうまく引き出すことにあると、筆者は考えています。
先日、筆者も就職活動の面接でこの質問を受けました。『あなたを家電に例えると?』という質問でした。少し考えてから、こう答えました。「私はパソコンだと思います。パソコンのように、物事を的確に処理することができるからです。ただ、オーバーワークすると、パソコンのようにショートしてしまう部分がとても似ていると思います」
しかし、面接が終わってみて、本当にパソコンでよかったのかと、何度も自問自答を繰り返してしまいました。家電には洗濯機や炊飯器、電子レンジと他にも選択肢は多くあります。それでも、このような問いに迷ってしまう理由は、そもそも答えのない質問だからだと思うのです。
社会には、こうした答えのない問いが多く存在します。今でいうと『少子化問題』『教師の労働問題』などが挙げられます。では、少子化であれば、高校生に給付金を出すことは、問題解決の糸口になるのでしょうか。教師の労働に対する問題では、教職調整額を4%から13%へと給料の部分で待遇を上げることが検討されています。これは、「残業を増やしても構わない」というメッセージとして受け取られてしまう危険性もあります。それから、学校の内部体制はどう整えていくのでしょうか。こうしたように、問題は山積していると思います。
では、答えのない問いにどのようにして答えを導いていけばよいのでしょうか。これは、非常に哲学的な部分もあります。そのため、正直なところ、唯一の正解や導く方法は存在しないと筆者は考えています。しかし、人間には考える力があります。
まずは、じっくりと考えることを大切にする必要があると思います。そのうえで、当事者の意見を丁寧に聞いて、検討する時間を十分に持ち、時には生成AIのような先進技術にも頼ると、有効で面白い成果が得られると筆者は思います。また、年下の小学生や中学生から、斬新かつ率直な意見をもらうのも、思わぬ解決策につながるかもしれません。
答えのない問いに対するアプローチの過程こそが、私たちがより良い社会を築くためには欠かせないものではないでしょうか。
【参考記事】
日経電子版(24年8月21日) 「教員『残業代』3倍超 文科省が基本給の13%案、26年導入」
日経電子版(23年6月13日) 「少子化の流れ止められるか? 政府が示すメニューを開設」
【参考資料】