2ヶ月ほど前、大学の「科学技術と倫理」という講義で興味深いアプリケーションの紹介がありました。「Be My Eyes」と呼ばれるものです。
「Be My Eyes」は、インターネットでつながるボランティアが、カメラをかざしたものを説明してくれるアプリです。例えば、▽冷蔵庫の食品の消費期限を知りたい▽服の色合わせを確認したい▽床に落ちた物を探したい▽コンビニの棚や自動販売機の商品を知りたい――など、多くのニーズに応えます(2024,読売新聞)。
主に視覚障がい者とそのボランティアがつながるアプリです。2024年9月6日現在、150か国以上、180以上の言語で696,594人の視覚障がい者と7,709,244人のボランティアが登録しています。
筆者もボランティアとして、インストールしました。助けを必要とする通知は、2週間に1回程度来ます。障がいのある方の人数に比べてボランティアの方が約11倍と多いので、そこまで通知の頻度は多くありません。
きょう、筆者が実際に対応したのは、郵便で届いたカードに書かれた内容を知りたいとの連絡でした。先方がカメラでそのカードを撮影し、筆者が内容を声で読み上げました。ボランティアの仕事の内容としては基本的に簡単なものが多く、気軽に助けに応じることが出来ます。もちろん、用事などで対応できない場合もあります。そういう時は、他のボランティアに任せます。このように自分の都合に合わせて活動できるのが、このアプリの良いところかと思います。
これまでボランティアを一度も経験してこなかった筆者は、ボランティアと聞くとどこか偽善的で縁遠いものだと思っていました。ただ今回の経験を通して、誰かの役に立つことの感慨深さに気付きました。
こういう便利な仕組みが開発されるのは望ましいことですが、半面、視覚障がい者にとってはまだまだ生きづらい世の中であることを示していると言えないでしょうか。バリアフリーやユニバーサルデザインなどよく耳にはしますが、全ての施設や物が対応済みであるかと言われればそうではありません。全ての方にとって生きやすい社会を実現するために、筆者も出来ることを一つ一つこなしていきます。
参考記事
2024年1月20日付読売新聞「[教えて!ヨミ ドック]目が見えにくくてスマホ使える? 暮らし手助けする道具」.