「どうしてこの中国言語文化専攻を選んだんですか?」
就活中に聞かれたこの質問には、いつも悩まされました。「もともと中国に興味があって…」とありきたりな答え方をしていましたが、正直な話をすると、中国自体にあまり興味はなかったのです。出身高校のモットーは「現役で高い偏差値の大学に行け」。正直学びたかったのは、中国よりも日本史でした。今いる大学の附属高校に落ちた過去があったから、大学ではリベンジしたい。その想いで、行きたい文学部のなかでも、当時倍率が一番低かった学科への受験を決めたのです。
大学は学問を極める場所、とよく言われていますが、このような経緯もあって、大学に入る前から、私は学問を極める気はありませんでした。入学後に、同じ学科の学生たちの自己紹介を聞いて、「入る大学間違えたかも」と焦った記憶もあります。しかし、実際に授業を受けてみると、「結構面白いかも!」と思えるようなことがたくさんあって、人の興味って簡単に変わるのだなと思いました。
さらに、私自身は学問以上にたくさんの「貴重な経験」をさせてもらえたと思っています。
年に少なくとも3、4回はイベントを運営している学生団体に1年生の頃から所属していました。新入生なのに学生向けの健康促進イベントの責任者を任され、イベントを一から考え、3ヶ月にもわたって準備をしました。広報や動画作成、冊子作成の責任者と毎日連絡を取り、納得がいかなければ3時間を超す話し合いをすることも。実際にイベントに参加した人の声を聞いたときの達成感は忘れられません。
また、翌年には大学周辺の地域活性化活動にも参加しました。小さな個人経営の喫茶店に取材をさせてもらって、中小企業の実態を知りました。「42年間、黒字になったことがないんだよね」。店主の言葉が今も忘れられないし、将来はこの問題を追い続けたいと思わせてくれる、人生の中でもかなり大きな出来事でした。
その他にも、大学のゼミの先生の紹介でラジオに少しだけ出演させてもらったり、ちょっと変わった仕事がしたくて、50、60代が多い制服採寸のアルバイトをしてみたり、国会議員事務所で秘書のインターンをしてみたり。「普通の人だったら、こんな経験絶対しないよな」と思えるようなことをたくさん探して、挑戦してきた大学生活だと思います。この、あらたにすでの活動もその思いで応募を決意し、今、記事を書かせてもらっています。
おそらく、大学の設置理由の本来の意図とは違うし、昨今の国立大学値上げ問題を見ていると、少し申し訳ない気持ちにもなります。もう少し学問をちゃんとやっておけばよかったなと思う自分もいます。でも、あまり器用なタイプではないので、これが自分のなかでの正解だったのかもなとも思っています。
学問だけでなく、たくさんの経験も積める場所。
そのときそのときを大事にすることの大切さを学んだ気がします。
あと半年、悔いのない大学生活を送っていきたいものです。
<参考記事>
朝日新聞デジタル「(耕論)大学はなんのため?原田佳歩さん、古川雄嗣さん、白石嘉治さん」2024年9月4日
(https://digital.asahi.com/articles/DA3S16025738.html)