世界で4番目の大地震から学ぶ② 【オンリーワンの災害準備を】

マグニチュード9.0、最大震度7を記録した東日本大震災。観測史上最大級、世界で4番目の大地震と言われています。

 

先日、筆者は地震による揺れや津波の被害を受けた、宮城県石巻市に足を運びました。連載「世界で4番目の大地震から学ぶ」の第2回では、石巻市に訪れて得た気づきから、災害準備について考えます。

 

筆者が到着したのは、JR石巻駅。そこから、沿岸部に近づくなかで以下のような標識を何度も目にしました。

 

避難場所図記号 (2024年8月10日 筆者撮影)

 

この標識は、津波から避難できる高台や丘を指定するマークです。津波から一時避難できる場所を示すもので、長い間、滞在できるという意味ではありません。標識のピクトグラムが少しでも異なると、示す意味合いも変わります。お近くで見かけた際は、きちんとその意味を調べておくことが求められるでしょう。

 

筆者が撮影したこの標識の先には、実際に高台へと続く坂道がありました。この道の先にある日和山公園には、地震発生時、多くの人が避難したそうです。

 

避難先へ続く坂道 (2024年8月10日 筆者撮影)

 

かなり勾配がきつい印象を受けます。緊急時、自分が避難するには問題ないかもしれません。ですが、高齢者や小さい子ども、妊娠中の方、車椅子の利用者らにとって、避難は決して容易くないはずです。

 

緊急時の避難経路を確認しておくことは、当然大切です。加えて、自身や家族の状況に合わせて、最善の避難ルートや方法を話し合っておくことも重要に感じました。

 

それは、防災リュックなどの準備においてもいえます。みやぎ東日本大震災津波伝承館で、震災時に避難所の運営に携わっていた語り部の方からお話を伺いました。なかでも印象的だったのは、アレルギーがある方への配慮に難しさを感じたという経験です。

 

避難所に届く食べ物には限りがあります。語り部の方によると、最初に届く食べ物は、食パンや卵であったといいます。小麦や卵にアレルギー反応を持つ人は少なくないと思われます。

 

高齢者や障害のある方への災害時の配慮は、問題視されるようになってきました。18日付の読売新聞朝刊でも、今後予想される南海トラフ地震から、彼らをどう守るべきか、課題と対策が示されていました。

 

一方で、その問いは誰もが向き合うべきものだと感じます。アレルギーの有無、ペットとの避難、持病への対策。個々の事情に合わせて、オンリーワンの備えが必要ではないでしょうか。筆者も、緊急時、自分には何が必要かを考えながら、災害準備を見直してみようと思います。

 

 

参考記事:

 

8月18日付 読売新聞朝刊(東京) 「[備える 南海トラフ地震]福祉と防災 結びつき重要 立木茂雄氏」

 

参考資料;

 

防災新聞「避難所のピクトグラムを知っておこう!災害別の図記号も併せてご紹介」

 

NHK「14:46に宮城 石巻 高台の日和山公園で黙とう」