世界で4番目の大地震から学ぶ① 【トイレで守る健康とは】

8月10日、11日に宮城県石巻市を訪れました。人生で初めての東北地方でした。滞在先は仙台駅近くのホテルだったため、石巻市へはバスを利用しました。1時間30分ほどで到着しました。

今回の記事では、1日目に訪問した「みやぎ東日本大震災津波伝承館」で学んだことについて紹介します。

1日目は石巻市の街並みを見たいという思いから、伝承館へ歩いて行くことにしました。約40分かかりました。石巻市の海風を感じながら目的地を目指します。自然の恩恵を感じながらも、この海が13年前にこの街を襲ったのかと恐ろしさも考えました。

それまで通ってきた住宅地とは打って変わって、伝承館周辺は津波の被害を直接受けた地域で、道路が再整備されています。津波被害がいかに大きかったのかが伝わってきました。

伝承館は石巻南浜津波復興記念公園内にあります。展示の目的は「東日本大震災と同じ悲しみと混乱を繰り返さないために、震災の記憶と教訓を永く後世に伝え継ぐとともに、県内の震災伝承施設等へ誘うゲートウェイ(玄関口)の役割を果たすことを目指す」(ホームページより)とされています。

 

みやぎ東日本大震災津波伝承館外観 2024年8月10日 筆者撮影

東日本大震災はマグニチュード9.0で日本国内の観測史上最大、アメリカ地質調査所(USGS)によると1900年以降では、世界で4番目の規模の地震と言われています。

伝承館を訪問した日には語り部の方の講演が行われており、筆者も聴講しました。震災当時、小学校の教頭先生をされていた方で、震災当日の避難方法や避難生活について語ってくれました。

以前、朝日新聞に掲載されていた、パレスチナ自治区ガザでインフラ施設が破壊された影響についての記事に興味を持ちました。避難民の中には、タンクを地中に埋め込み、簡易トイレを作る人もいるそうです。しかしそれでは、排泄物が砂地に染み込み、地下水を汚染する危険性があります。

さらに、インフラ施設の破壊は衛生状態の悪化に繋がり、ポリオという感染症が蔓延している現状が警告されていました。以前は「小児麻痺」と呼ばれることの多かったポリオは主に便などを介して感染し、手足に麻痺を引き起こし、死に至るケースもあるそうです。この記事から、トイレの衛生状態がいかに健康に悪影響を及ぼしているかを知りました。

そこで、避難所生活でのトイレはどのように管理、運営されていたのか気になり、語り部の方に質問しました。

東日本大震災では、津波でヘドロが排水管に詰まっていたため、トイレの水が流せない状態が続いていたそうです。避難所では、便器の中にビニールと新聞紙を敷き、そこに排便していました。その後はビニールと新聞紙を包んでしばらくの間は外に置いていたと聞きました。

初期の段階ではビニールと新聞紙で対応していましたが、排泄物からの匂いが気になっていたそうです。そこで、簡易トイレが届くまでは学校のプールに溜まった水をバケツリレーで運び、便器に流し込むようになりました。

語り部の方も、トイレは食と同様に生活に欠かせないもので、避難所生活での対策は重要な課題になっていたと話していました。

日経新聞の記事では、能登半島地震の避難所生活ではトイレ対策の必要性が再認識されたと述べられています。この記事の中で専門家は「トイレが不衛生だったり防犯面で弱いと、感染症や関連死、治安悪化などの問題が派生的に発生する」と述べています。

ここ1、2週間、地震が続いています。仙台に移動する前日の8月9日、東京に宿泊していた際にも地震警戒アラームが鳴って不安を覚えました。いつどこで地震が発生するかわかりません。過去の地震から学び、災害に関する知識を身に付けましょう。

東日本大震災で津波被害を受けた石巻市を訪れることによって見えてくるもの、感じるものがありました。連載「世界で4番目の大地震から学ぶ」の次回も、石巻市で学んだことについて書いていきます。ぜひお読み下さい。

参考資料:

内閣府防災情報 「特集 東日本大震災:防災情報のページ-内閣府」https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h23/63/special_01.html#:~:text=マグニチュード(M)は、1952,規模の地震でした%E3%80%82

みやぎ東日本大震災津波伝承館-宮城県公式ウェブサイト 「みやぎ東日本大震災津波伝承館のご案内」https://www.pref.miyagi.jp/documents/40349/denshokantennzigaiyou.pdf

参考記事:

7月25日付 朝日新聞朝刊(大阪13版)9面 「ガザ『500人にトイレ一つ』」

8月18日付 日本経済新聞電子版 「重要な震災時のトイレ対策 被災者らの生活の質に影響」