新聞を読むのって正直しんどい 心の健康とのバランスを配慮しなければならない「惨事報道」

新聞を読むのって正直しんどい

学生記者として、あるまじき発言かもしれません。けれど正直、しんどくなることがあるんです。戦争や災害、有名人の自殺、著名人への襲撃など、衝撃的な報道に接して自分の気持ちも沈んでしまうこと、皆さんもありませんか。

あらたにすで活動を始めて、早くも1年半が経過しました。どんなトピックの記事を書こうかと毎日思いを巡らせながら、新聞を開いています。文章と数枚の写真から得た情報だけでも、被害状況を想像したり被害者の気持ちになったり、どうしても自分と重ねてしまうことがあります。テレビ報道となると、繰り返して映像を見ることから悲惨な情報を抱え込んでしまいます。

過去の事件や災害においても、衝撃的な映像を原因とする心理的負担の問題を専門家は指摘してきました。事実を知ることと心の健康のバランスをうまく保つには。報道との距離感を考えます。

 

◾️惨事報道

大事件や災害などのニュースは、心身に悪影響を及ぼしうる「惨事報道」と呼ばれます。直近では、トランプ前米大統領が銃撃され、出血する画像や銃撃の瞬間の動画が、テレビやSNS、ニュースサイトで流れました。ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるガザ地区への攻撃による悲惨な画像や映像、著名人の自殺なども「惨事報道」に含まれます。

 

◾️惨事報道視聴の主な注意点

一般社団法人「日本トラウマスティック・ストレス学会」によると、悲惨な報道を繰り返し視聴した場合、ストレス反応が高まる可能性があります。具体的に、以下の注意点を示しています。

・惨事報道の刺激は必要最小限に

・同じ内容の報道を繰り返し見ない

・衝撃的な映像の視聴を避ける

・「ながら見」を控える

・トラウマや精神疾患を抱える人は、惨事報道による影響が大きいことに注意する

・子どもの年齢と発達を考え、報道との距離の取り方を決める

・子どもの試聴時間を制限する

繰り返し悲惨な報道に触れることによって、不安や憂鬱な気持ちになるほか、不眠や悪夢に悩まされることもあります。子どもやトラウマを抱える人は、より大きな影響を受ける危険性が心配されます。

 

情報の渦の中を生きる現代人にとって、世界で起きていることを正しく知ることは欠かせません。そのために、戦争や事件、災害を報道することは重要なのです。だからこそ、受け取る側、情報を発信する側双方が、心の健康とのバランスに配慮する必要があります。

 

参考記事

・7月15日付 朝日新聞デジタル 「繰り返されるトランプ氏の銃撃映像 『惨事報道』の専門家が語る対策」 https://www.asahi.com/articles/ASS7H2S67S7HUTIL003M.html

・2022年7月9日付 日経電子版 「安倍元首相銃撃 専門家『映像「ながら見」に注意を』」 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE090O60Z00C22A7000000/

・2022年7月9日付 読売新聞オンライン 「繰り返される銃撃映像、心の健康に影響恐れ…専門家『変化のサインに寄り添う必要』」 https://www.yomiuri.co.jp/medical/20220709-OYT1T50169/

・2022年3月22日付 読売新聞オンライン 「ウクライナの衝撃映像、PTSDに注意!」 https://www.yomiuri.co.jp/column/naruhodo/20220318-OYT8T50023/

 

参考文献

・一般社団法人「日本トラウマスティック・ストレス学会」https://www.jstss.org/docs/2022030300033/file_contents/sanjihoudou.pdf

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