先日、初めてフィルムカメラを購入しました。元々は、富士フイルムの使い捨てカメラ「写ルンです」を試す予定でした。しかし、大型家電量販店を3軒回ったものの、どこも売り切れ…。そこで、比較的安価な上、繰り返し使うことができるコンパクトなフィルムカメラを購入することにしました。なぜ、スマートフォンを使わずに敢えて「写ルンです」などを選ぶ人が増えているのでしょうか。
カメラ市場では2000年前後からデジタルカメラやスマートフォンへの置き換えが進んできました。一方で、日本経済新聞によると若年層の来店が増えており、「写ルンです」も21年ごろから販売が増え始めてきたといいます。
自身の高校生活を振り返っても、インスタントカメラの「チェキ」やコンパクトカメラを修学旅行に持っていったり、SNSに「写ルンです」を使用した自撮りを載せたりすることが流行っていたことを覚えています。フィルムカメラ自体にレトロでおしゃれな印象を持っていました。
筆者はフィルムカメラの使用方法を全く知らなかったため、恥ずかしながら今回初めてフィルムをカメラに入れるやり方や、1コマずつ手動で巻き上げてからシャッターを切る必要があるということを学びました。
使ってみて気が付いたのは、撮れる枚数が決まっているため、撮影の行為そのものと真剣に向き合う必要があるということです。普段デジタルカメラやスマートフォンで撮るときは、とりあえず何枚か撮って、その中からうまく写ったものだけ保存することが少なくありません。フィルムカメラはシャッターを押せる回数が限られているからこそ、1枚1枚が「一期一会」という思いになります。
現像は、スマートフォンに転送をするサービスが人気を博しています。筆者も試してみたところ、1000円ほどで直ぐ送られてきました。撮った直後は確認することができなかったため、どのような仕上がりになっているか、そのワクワク感がたまりませんでした。
スマホで撮った写真と見比べてみると、フィルムカメラで撮影したものは、どこか懐かしさを感じる温かみのある色味になっています。
また、現像した写真の中には、暗すぎて何も映っていないものが数枚ありました。長年カメラ屋さんを営む方にお話を聞くと、「人間の目は優秀で、暗い所でも物が見えるが、フィルムカメラはそうはいかない。フラッシュをたいたり、フィルムの感度が高いものを選んだりする必要がある」と教えてくれました。
デジタル時代に生まれた筆者にとっては、失敗すら非常に刺激的で新鮮な体験でした。手軽に写真を撮ることができる現代で、あえて手間をかけて記録をすることも新たな楽しみの1つになりそうです。
参考記事
6月18日付 日本経済新聞「リコー、21年ぶりフィルムカメラ 若者のレトロ映え照準」
2023年8月16日付 日本経済新聞「フィルムカメラ刺さルンです 若者に人気、企業再参入も」