花笠まつりで盛り上がりを見せる夏の山形。歩いてみると、「冷やし」の文字があちらこちらに見えます。ラーメン、肉そば、玉こんにゃく、シャンプーなど、目に入るだけでいくつもの店が「冷やし」をアピールしていました。実は山形は「冷やし文化」が地域に根づいているのです。
涼しいイメージの東北にあるにもかかわらず、なぜこんな文化が浸透したのでしょうか。山形は昔から暑い地域だったことが背景として考えられます。山形市は1933年7月に40.8度の最高気温を記録しました。そこから、2007年8月に埼玉県熊谷市と岐阜県多治見市に塗り替えられるまで、日本の最高気温記録を74年間保持し続けてきた地域なのです。
冷やし文化の代表格が「冷やしラーメン」です。一見すると普通のラーメンですが、スープには氷が浮き、キュウリなど涼しげなトッピングで彩られています。発祥の店として知られる「栄屋本店」では、1952年から提供しているそうです。
県内の美容室には、「冷やしシャンプー」と呼ばれるサービスを実施しているところも。氷や冷蔵庫で冷やしたシャンプーを頭にかけ、冷水で流す。体験してみると、顔がきゅっと強張るほどの冷たさを直に感じられます。火照った頭が芯から冷えました。「最近は観光の方も増えていますね」と、店主が慣れた手つきで髪を乾かしながら教えてくれました。山形の新たな名物として少しずつ広がっているようです。
最近では、冷たい肉そばなども人気を博しており、冷やし文化は発展を続けています。夏祭りや海水浴など、外で過ごすことが多い季節。しかし、山形のようにクールに暮らしを楽しむのも素敵な夏の過ごし方かもしれません。
参考記事
花笠 華やか 弾む声 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
山形:冷しらーめん 栄屋本店(山形市) 夏の名物 氷浮かぶラーメン:地域ニュース : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)