災害級と呼ばれるほどの暑さが続く日本列島、猛暑から身を守るための取り組み「クーリングシェルター」の整備が全国各地で始まりました。4月に施行された改正気候変動適応法に基づいて始まりました。
クーリングシェルターとは、「熱中症特別警戒アラート」が発令された際の住民の避難先のことを指します。アラートは気温、湿度、日射量などをもとに算出する熱中症予防の指数「暑さ指数」の予測値が35以上になった場合に発令されます。発令されれば、自治体はシェルターを開放し、住民は涼む目的だけで施設内に滞在できます。シェルターに指定されているのは公民館や図書館などの公共施設が中心ですが、他にもドラッグストアやショッピングモールなどの民間企業の施設も含まれる場合があります。
京都市では公共施設のほかに、イオンモールやウエルシア薬局などが指定されています。中でも、イオンの運営する商業施設「イオン」「イオンスタイル」「マックスバリュ」などの系列のうち、全国670の施設がクーリングシェルターとして各自治体に指定されています。
イオンは「例年以上に暑さから身を守る必要性がある一方、電気代の値上げや猛暑による電力使用量の上昇から、節電への意識も高まっています」として、施設内のフードコートやベンチなどの休憩場所を提供しています。
加えて、日中よりも涼しい朝や夕方の買い物がお得になるクーポンの配布や、暑さを軽減する商品の展開、ネットスーパーの活用など、安全な買い物を呼び掛ける販促活動も実施しています。各自治体で受け入れ態勢に差があるものの、官民一体となった暑さ対策は広がりつあります。
ただ、暑さ対策に対する国民の認識には課題があるようです。タイガー魔法瓶(大阪・門真市)が24年3月に15〜59歳の男女544人に実施した調査によると、熱中症特別警戒アラートの意味を「知っている」と答えたのは42.1%と半数にも満たない状況。昨年は北海道伊達市で、「暑さ指数」が「危険(運動は原則中止)」レベルになっていたことを学校側が確認せず、屋外で運動を続けたことで小学生が死亡する事故が発生しています。
熱中症による救急搬送も今年7月1日~21日時点で、23年の同時期の約1.2倍になっています。社会全体で暑さ対策の認識を変えなければならない時期に来ています。皆さんも、水分補給などの基本的な対策はもちろん、近所や出先にあるシェルターを確認し、万全を期して厳しい夏を乗り越えましょう。
参考記事
『日本経済新聞』2024年7月24日付
熱中症避難所、確保に地域差 救急搬送は昨年同時期1.2倍 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
『読売新聞』2024年7月27日付
大阪:酷暑 クールに乗り切って…自治体 対策を強化:地域ニュース : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
『読売新聞』2024年7月12日付
岡山:熱中症対策 「砦」活用を:地域ニュース : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
『朝日新聞』2023年8月23日付
学校側は「暑さ指数」確認せず 体育後に小2女児死亡 北海道伊達市 [北海道]:朝日新聞デジタル (asahi.com)
環境省熱中症予防情報サイト – 熱中症特別警戒情報とは (env.go.jp)
イオン株式会社「「イオン COOL de ACTION」を 全国約2,400店舗で実施」(2024年7月24日)20240724_R1_1.pdf (aeon.info)