相次ぐ大学への爆破予告 手軽だが痛い代償

先日私が通う中央大学の茗荷谷キャンパスに爆破予告がありました。予告された日が期末試験期間と重なっており、当日は構内が立ち入り禁止となり、期末試験も延期されました。想定外の予定変更に試験勉強のペースや予定を乱され、憤慨する学生も多くいます。

近年、大学など教育機関に対する爆破予告が相次いでいます。今年の3月には明星大学に爆破予告のメールが届き、入学式が中止となりました。4000人の学生や関係者に影響しました。入学式という一生に一度のイベントが中止になった新入生を思うと心が痛みます。首都圏だけでも2020年には早稲田大学が、22年には東京都立大学がそれぞれ爆破予告を受けていて、授業を中止するなどの措置を余儀なくされました。

大学に対する爆破予告のなかで実際に爆発が起きた例は、調べたところ見当たりません。学生の中には、予告を無視してでも通常業務を継続すべきだと考える人もいます。ただ、1974年の三菱重工爆破事件では、事前に予告がなされていたのにもかかわらず、いたずらと判断され、多くの死傷者を出しました。大学側としては無視するわけにはいかず、休講や校内立ち入り禁止など万が一を考慮した措置をとらざるを得ません。言うまでもなく、こうした行為は大学などの業務を妨害する悪質な犯罪です。

それでは、一体どのような人物が爆破予告をしているのでしょうか。23年1月に東京音楽大学などに対し爆破を予告するファックスを送ったとして逮捕・起訴された佐藤直被告に対して、先月懲役3年の実刑判決が言い渡されました。公判の中で被告は、ネット上の掲示板を拠点として特定の弁護士などへ嫌がらせを重ねた動機について、「恒心教」と称する集団を社会に広めたかったからと供述しています。この集団は、度々ネット上で特定の個人への嫌がらせや大学などへの爆破予告を行っています。

朝日新聞によると、被告が嫌がらせを行ったという投稿をしたところ他のユーザーから称賛の書き込みがあり、歯止めがきかなくなったといいます。ネット上で目立つ行為をすればするほど、犯罪であるかにかかわらず注目を浴びることができます。近年の迷惑系ユーチューバーにつながるものもあるかもしれません。

しかし、同被告が執行猶予なしの実刑判決を受けたように爆破予告が犯罪行為である以上、手痛い代償を払うことになります。SNSやメールで手軽に爆破予告を行える時代ですが、その行為に伴う責任の重さは今も昔も変わりません。

NHK『明星大学に爆破予告メール 入学式中止を発表 東京 日野』

朝日新聞デジタル『友人はいなかった…「恒心教」が満たした承認欲求 元大学院生の後悔』2024年6月13日配信

朝日新聞デジタル『爆破予告の「恒心教」とは 掲示板のサーバーは海外、緩いつながり』2023年8月23日配信