照り付ける日差しから身を守るように、日傘をさして歩く人々の姿が散見されます。20日は、全国130地点で35度以上の猛暑日を記録しました。18日に梅雨明けとなった関東甲信、東海を始めとする広い地域で、この先1週間程度は猛暑日が観測される見込みです。
高温多湿な環境で心配されるのが、熱中症です。日中や屋外のみならず、夜間や屋内でも熱中症にかかる危険性があるため、予防や対策を講じることと、応急処置の仕方を知っておくことが必要です。
これらの症状がでた場合、熱中症にかかっている可能性があるといえます。
①めまいや顔のほてり
②筋肉痛や筋肉のけいれん
③体のだるさや吐き気
④汗のかきかたがおかしい
⑤体温が高い、皮膚の異常
⑥呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない
⑦水分補給ができない
もし上記の症状がみられた場合は、フローチャートを参考にしながら、応急処置を講じることが必要です。
・医療機関への相談、救急車を呼ぶ
・涼しい場所へ移動する
・衣類を脱がし、体を冷やして体温を下げる
・塩分や水分を補給する
熱中症は命に係わるものであり、毎年死亡者が発生しています。2020年からの3年間では、1528人、755人、1477人と推移しており、いずれの年も65歳以上が約85%を占めています。
また、熱中症により体調を崩す人も多数おり、今月7日から14日までに救急搬送された人の数は6194人でした。住所地で発症した人が3050人と半数を占めているため、近場や屋内であっても注意が欠かせません。
熱中症に特に注意が必要な人は、子ども、高齢者、屋外で働く人、キッチンで火を使う人、スポーツをする人、車に乗る人などとされています。他にも、夏場の外出に慣れていない方や、視覚障害のある方、手足・体幹の障害のある方、知覚・発達障害の方は、それぞれ注意が必要なポイントが存在します。
熱中症を予防するために、個人レベルではなく企業レベルで対策を講じる例もあります。三重県の製菓工場の屋根には、遮熱シート「ルーフシェード」が設置されました。このシートは生地と生地の間に隙間ができるように配置されており、屋根との間に空気層を生み出すことで、シート自体の断熱・遮熱・反射効果に加えて、空気の流れで熱気を排出する効果があります。
実際に、シート設置前は真夏に80度近くまで上昇するトタン屋根の表面温度が、設置後には約25度下がったことが確認されたようです。このシートは、新宿駅のバスターミナルやごみ処理場などにも設置されています。
また、公園や駅前などにミストシャワーが設けられている場合もあり、企業や公的機関が主体となって取り組みを講じるのも有効と言えそうです。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの暑さ対策としても注目され、会場周辺の駅や、バス停などにも導入が進められました。
すでに夏休みが始まった小中学校も少なくありません。熱中症に特に注意が必要な人々に目を向けつつ、どんな年齢の方も、どんな場所でも、どんな時間帯でも、自分の体力を過信せず、日頃から十分な知識と備えが必要です。
【参考記事】
2024年7月20日付 朝日新聞デジタル「過酷な暑さから従業員を守る 工場の屋根を25℃下げる白いシート」
【参考資料】
気象庁 “関東甲信と東海 梅雨明け” 1週間程度 熱中症に警戒 NHK
熱中症の症状 | 熱中症ゼロへ 日本気象協会推進
年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移(平成7年~令和4年) ~ 人口動態統計(確定数)より
全国の熱中症による救急搬送状況 令和6年7月8日~7月14日(速報値) 総務省消防庁
製品情報(ルーフシェード) 日本ワイドクロス株式会社
暑さ対策の新定番「ミストシャワー」 日本管材センター株式会社日本管材センター株式会社