パリオリンピック開催まで残り5日を切りました。ダンススポーツであるブレイキン(ブレイクダンス)が新たに加わり、注目が集まります。
若者の五輪離れを危惧し、近年、若い層に人気があるスポーツクライミング、サーフィン、スケートボード、ブレイキンが次々と採用されてきました。IOCのバッハ会長は「若者に特に人気が高く、都市型スポーツでもある」ことを強調したといいます。
ダンスを構成する基本要素として、立った状態でステップを踏む「トップロック」、手を地面について足技で見せる「フットワーク」、全身を使って派手に回転する「パワームーブ」、激しい動きをピタリと止める「フリーズ」があります。
大学内のサークルでブレイキンをしている学生は、「フットワーク」をとっておきの武器にしているそうです。「一番個性が出やすいから楽しい。パワームーブは型があるため、どうしても皆同じになってしまう。フットワークでオリジナリティを出して、周りと差をつけるダンスをすることができる」と話してくれました。
というのも、技の難易度や難度だけでなく、音楽性、オリジナリティ、個性などを基準に勝敗が決まるからです。音楽性では、例えばタイミングを合わせてフリーズをしたり、音や歌詞をダンスで上手く表現したりすることが求められます。いわゆる「音ハメ」です。
先ほどの学生によれば、「技術だけではなく、音ハメや個性に注目してほしい」。音と踊りがハマる瞬間の場の盛り上がりや空気感を感じてほしいといいます。さらに、「注目が集まりやすいパワームーブ以外のところで個性が出る。手足が長い人なら、それを活かしたオリジナルがあるように、人それぞれの部分が奥深い」と魅力を語ってくれました。
オリンピックの新競技に加わることで、多くの人に認知が広まると考えます。筆者自身も2021年の東京オリンピックで試合を観戦し、スケートボードに関心を持ちました。実際にスケートボードを購入し、滑ってみるほど没頭しました。一方で、その当時はスケートボードを楽しめる公園や施設が限られており、思うように練習することができませんでした。
しかし、最近では状況が改善されつつあります。大阪府・吹田市では今年4月に、サーフィンやスケートボードなどを販売するスポーツショップ「ムラサキスポーツ」と国内最大級室内スケートパークが融合した施設がつくられました。大阪府北摂にある服部緑地公園には、来春に無料のスケボーパークができる予定です。
このように、オリンピックという大きな大会で注目されることが、そのスポーツの競技環境の整備にも繋がるでしょう。まもなく開幕するパリオリンピックでは、ブレイキンがどのような新しい風を吹かせてくれるのか。期待が高まります。
参考記事
20日付 朝日新聞デジタル 「『ブレイキン』って、何なんだ? パリ五輪開幕まで6日」
21日付 朝日新聞(大阪14版)1面「抑圧に負けず、私は踊る アフガン、ダンスも女性スポーツも禁止 難民選手団として出場へ パリ五輪」
21日付 読売新聞オンライン「五輪旗手のブレイキン半井重幸『感慨深さと向き合いセーヌ川下りたい』都内で壮行会」
21日付 日本経済新聞「ブレイキン半井重幸、パリ五輪で旗手 『魅力伝えたい』」
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