時が経つのは早いもので、すでに7月中旬に。2024年も折り返し地点を過ぎました。
しかし、世界的な「選挙イヤー」はまだまだ話題に事欠きません。4日にはイギリス下院総選挙が、7日にはフランス国民議会選挙の決戦投票が行われました。
選挙では多数の人物が立候補し、有権者に「選択肢」として提示されます。個々の候補者だけでなく、議会の多数派によって組織される政権の姿も選択肢と言えるでしょう。
今回は選挙における選択肢に焦点を当てたいと思います。
◯「最悪」vs「最悪」
11月に本選挙が行われるアメリカ大統領選挙では、現職のバイデン氏と前職のトランプ氏の対決となることがほぼ確実となっていました。
両氏は激しく対立しており、互いに「史上最悪の大統領」と非難し合っています。
バイデン氏は81歳、トランプ氏は78歳と共に高齢。
特にバイデン氏は、先月末に行われたテレビ討論会で声がかすれるなど精彩を欠き、饒舌なトランプ氏と比較して迫力に欠けるように見えました。討論会以降、民主党議員や支持者の一部からは撤退要求も出ています。
「最悪」vs「最悪」。2つの選択肢は有権者の目にどのように映るのでしょうか。
◯14年ぶりの政権交代
4日に投開票が行われたイギリス総選挙で労働党が地滑り的な勝利を納め、同党を率いるスターマー党首が首相に就任しました。実に14年ぶりの政権交代です。
今回の政権交代は、EU離脱やコロナ禍後の景気低迷を打破できない歴代政権への失望や相次ぐ不祥事といった保守党の失点によるところ大きいと言われています。ただ、前党首の急進左派路線から中道左派路線へと回帰させ、幅広い有権者を取り込むというスターマー氏の改革がなければ、6割超の議席獲得という歴史的勝利はもたらされなかったでしょう。
今後、新政権が国民の期待に応えられ続けるかは予断を許しませんが、少なくとも現時点において、イギリス政治は有権者に選択肢を示すことができたと言えるのではないでしょうか。
民主主義の根本を支える選挙。市民の声を政治に反映する重要な仕組みですが、納得できる選択肢が示されなければ制度は機能しません。
有権者に選択肢を示すことができるか。政治は真価を問われています。もちろん日本も例外ではありません。
参考記事:
7月14日付 読売新聞朝刊3面(総合)「[スキャナー]「バイデン撤退」くすぶる民主 米大統領選 本人は再選意欲 後継シナリオ・ハリス氏有力」