先日、筆者は福井の若狭高浜でスキューバダイビングをしてきました。海中に潜って出会った色鮮やかな魚の群れやサンゴ礁などはまさに絶景で、心がリフレッシュされました。
しかしそんな美しさの一方で、海が非常に汚れていることが気になりました。至る所にゴミが浮いており、水が濁っているため、魚の生活環境はきちんと守られているのかと疑問に感じました。
そこで今回は、海から魚が消えるとされる2048年問題について考えたいと思います。
2048年問題とは、科学誌『サイエンス』で発表された「2048年、海から魚がいなくなる」という論文から生まれた言葉です。背景には主に三つの要因が挙げられています。
一つ目は、地球温暖化です。50年ごろには平均気温が約2℃上がるとされています。これにより、寒い所や暖かい所を好む魚が移動を始めます。生態系の変化が生じることが魚の減少につながると考えられています。
二つ目は、乱獲です。世界の漁獲量を見てみると、年に約1億8000万tとなっています。日本をはじめ、先進諸国は減少傾向にありますが、インドネシアやベトナムなどアジアの新興国をはじめとする途上国の漁獲量は増大し続けています。また、48年には世界人口が約93億人に達すると言われており、このまま乱獲を続けていると生態系が保たれず、魚の数が減ってしまうことが考えられます。
三つ目は、化学物質やプラスチックによる海洋汚染です。産業廃棄物の投棄や、工場や家庭からの生活排水に含まれる化学物質など、様々な要因で海洋汚染が進行しています。これもまた、海に住む生き物の環境を悪化させ、生態系を脅かす一因となっています。
これらの問題が解決されなければ、30年以内には、今私たちの食卓に並んでいる魚介類のほとんどが絶滅してしまうというのです。
実際に、ベテランのダイバーさんに海洋汚染の現状について訊ねてみると、以前は今ほどゴミが浮いておらず、綺麗な状態が続いていたそうです。しかし、ここ数年で劇的に海の景観が損なわれており、見ることができる魚も変化しているとのことでした。
上記三つの要因は非常に複雑で大きな問題であり、一朝一夕で解決できるものではありません。しかし、小さなことからコツコツと積み上げていくことが問題解決への糸口となるはずです。必要以上にエアコンを使用しない。不法投棄はもちろんしない。ゴミは分別し、プラスチックのリサイクルを徹底する。一人一人がこれらのことを少し意識して実行することです。
豊かな魚の住む海や地球を守るのも、壊すのも私たち人間なのです。個々人が危機感と意識を持つことが問題解決へと繋がり、全生命が安心して暮らせる環境を整えることができるはずです。
地球で暮らす1人の人間として、自分にできる範囲で取り組んでいきましょう。
参考文献
・webマガジンHEAT 約30年後、海から魚がいなくなる!?イラストで分かる!「2048年問題」について
・関西電力グループ STUDY 海洋汚染とは?原因や環境に及ぼす影響と個人ができる取組みについて紹介
参考記事
2023/11/22付止まらぬプラごみの海洋流出 「海の中で分解」の高い壁、挑む研究者
2024/6/6付1.5度目標「5年以内に超える」 温暖化対策、猶予なし 世界気象機関予測