7月3日、お札が一斉に変わります。千円札は北里柴三郎、五千円札は津田梅子、一万円札は渋沢栄一の肖像になります。まだ目にしていない新紙幣ですが、偽造防止やユニバーサルデザインなどさまざまな工夫がされているそうです。
野口英世、樋口一葉、福沢諭吉が肖像の現在の紙幣が使われ始めたのは20年前の2004年です。その前年に生まれた私にとって、お札といえば現在のものしかありません。毎日のように見てきた紙幣には、なんだか愛着が湧いています。財務省によれば、偽造紙幣の流通を防ぐため、これまでも約20年毎に改刷されてきたそうです。新紙幣が今までのお札と違う点は何でしょうか。
まず印象的なのがユニバーサルデザインです。今までより数字のサイズが大きくなり、中央の表示も漢字からアラビア数字に変更されました。漢字が読めない外国の方や、幼い子どもにも分かりやすそうです。また端にある、ざらっとした質感を持ち指で触って判別できる「識別マーク」は、わかりやすい11本の斜線に統一されます。
偽造防止技術も、さらに進化しています。より繊細な「すき入れ(すかし)」が施されるほか、傾けるとキラッと光り、画像が浮き出る「ホログラム」は大きく変化します。新たに「3Dホログラム」が採用され、肖像が中で回転するのです。この技術が紙幣に採用されるのは、世界で初めてだそうです。サイズも今までより大きく、美しいきらめきが見られます。
今までの紙幣でも採用されていた、インキを盛り上げてざらざらした触感をつくる「深凹版印刷」、傾けると文字が出現する「潜像模様」、紫外線を当てると発光する「特殊発光インキ」など、偽造防止にはほかにも多くの技術が用いられています。
旧デザインのお札は、どうなるのでしょうか。新紙幣が発行された後も使えます。それ以前に発行が打ち切られた「旧札」も、いまだ有効です。夏目漱石の千円札や聖徳太子の一万円札も、価値を失ってはいません。
ところが、読売新聞によれば、「『旧紙幣は使えなくなる。新紙幣と交換する』と偽って、手渡しや振り込みで現行の紙幣をだまし取ろうとする特殊詐欺が発生する恐れもあり、同省や日本銀行、各地の警察は警戒を強めている」とのことです。変化する時だからこそ、詐欺には注意が必要です。
何気なく使っている紙幣ですが、偽造防止やユニバーサルデザインについて初めて知りました。キャッシュレスが普及する昨今ですが、お金自体も進化しています。新紙幣を財布に入れるのが楽しみになってきました。
【参考記事】
21日付読売新聞朝刊(大阪朝刊13版)14面(くらし)「新紙幣発行 便乗詐欺に注意」
【参考文献】