増加するヤングケアラー 地域に求められることとは

今月5日に、「改正子ども・子育て支援法」が成立しました。

 

児童手当の大幅な拡充が柱となっており、所得制限を撤廃したうえで、支給期間を高校生年代まで延長するなど、段階的に子育ての負担を軽減していく計画となっています。そして、新たにヤングケアラーが支援対象として認められることとなりました。

 

本記事では、そのヤングケアラーが抱える問題と解決策について考えていきます。

 

こども家庭庁によると、ヤングケアラーとは「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているこども」とされています。増加した要因としては、ひとり親世帯や共働き世帯、核家族の増加が挙げられます。働き方や生活スタイルの変化により、家族の世話をできる大人が減ったため、子どもに頼る家庭が増加し続けていると考えられます。

 

厚生労働省が全国の小中学校、高校、大学を対象に実施したアンケートによると、全体の約4~6%がヤングケアラーであるということが分かりました。また、その半数がほぼ毎日世話をすると回答しており、1日のうちで家族のケアにかける時間が長いことからも負担の大きさがうかがえます。

 

図1,厚生労働省「ヤングケアラーの実態に関する調査研究について」より引用

 

ヤングケアラーが抱える問題としては、主に2つ挙げられると筆者は考えます。

一つ目は、孤立する恐れがあるということです。家庭で過ごす時間が長いため、友人たちと遊ぶ時間をあまり確保できません。また、相談できる相手がいないケースが多いことも問題だと考えられます。

 

次に、学業への悪影響です。家族のケアに当てる時間が多いため、家庭での勉強時間を確保することが難しく、授業に遅れを取ってしまい、受験勉強などにも支障が生じることが考えられます。

 

これらの問題に対する解決策として、ヤングケアラー同士が交流できる機会を地域単位で設けていくことが有効ではないかと筆者は考えます。実際に、厚労省によってオンラインで交流できるイベントが開催されたり、ヤングケアラーをサポートする団体が存在したりしてはいますが、まだまだ多くのこどもたちをサポートしきれていないという現状があります。

存在を把握しづらいという点も支援の難しさの一因となっているのですが、各地域、教育機関が一丸となって、実態を把握していくことが求められます。

 

地域ごとに、ヤングケアラーや悩みを抱えるこどもたちが集まり、交流し合える場を設けることで、孤立を緩和し、仲間の存在を知ることで、ストレスを軽減することができると考えられます。また、ヤングケアラーに支えられている家族の方も参加できるようにすることで、複数人で協力してケアを行えるため、ケアラーの負担を軽減することもできると考えます。

 

学習面においては、学生ボランティアがヤングケアラーの集まりに参加して支援すること、オンラインで指導することなどが有効だと考えられます。

 

地域単位での活動を通じて、多くの人がこどもに寄り添うようになれば、彼らの負担が軽減されます。また、交流が生まれることで、多くの人々が地域で抱えるヤングケアラーの問題に関心を持つようになるでしょう。対人関係が希薄になりがちな現代社会において、交流を深め、悩みを抱える者の存在を知ることは非常に重要です。人の力を借りられる環境づくりがこの問題の解決には欠かせません。

 

筆者自身も、自分が住む地域の活動に積極的に参加し、繋がりと学びを深めていきたいと考えています。みなさんも、今一度、交流を深めることを考えてみてください。きっと新たな気づきが得られるでしょう。

 

 

 

【参考文献】

こども家庭庁 ヤングケアラーとは

 

厚生労働省 「ヤングケアラーの実態に関する調査研究について」

 

【参考記事】

2024/2/21付 読売新聞 中2の18人に1人「ヤングケアラー」、悩み打ち明けられず…こども家庭庁が支援強化へ

 

 

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